〈書評〉名前を覚えられなくなってきた ―ぱる通信

[201803]
・・・・・あなたの知らない世界ぱる出版

◆銀輪の覇者(斎藤純著)

こちらは、おすすめしていただいた本です!ありがとうございます。
自転車レースの話なのですが、舞台は昭和9年。
昭和9年に自転車競技があったの?という疑問を覚え、ツール・ド・フランスの歴史を調べることに。
ツールの初回が1903年、そして昭和9年は1934年。
ツール・ド・フランスの歴史がかなり長いことに改めて驚きながら読みました。

一攫千金を夢見て日本の本州縦断レースに挑む、一癖も二癖もあるような、ワケありの登場人物たち。
みんなクセが強すぎて正直「この人誰だっけ」と、登場人物紹介のページに何度も戻ってしまいました。
前回「登場人物のページはあまり読みません」と言いましたが、今回は活用しました…。
様々な個人の思惑とレースが絡み合っていくので、爽やかな作品とは言い切れません。
どちらかというと、ジメッとした感じですかね…。
自転車競技といっても、このレースはロードバイクではなく「普通の自転車」で走らなければならないので、それを想像するとレースの過酷さも増します。
しかし、自転車を漕ぎながら見える景色が綺麗だと感じる描写や、ラストの日のレース展開は手に汗を握るよう。
レースを実際に見て応援しているような気持ちになりました。

個人的には『終章』という数ページに、ものすごい衝撃があったのですが、一体どういうことだったのでしょう…。
未だに混乱しています。

◆悪と仮面のルール(中村文則著)

こちらは、実写映画化の宣伝を見て、主人公を演じる玉木宏さんの雰囲気がとてもブラックですごく素敵だったので、読んでみました。

この作家さんの小説を読むのは初めてでしたが、巻末の解説が、作家さん本人の後書きのような感じでした。
インタビュー等を見ない限り、コメントを目にする機会もないので、補足のような感じで、ありがたいです。

ストーリーは、読後感としては悪くありませんでした。
タイトルのインパクトが強すぎて、ちょっと警戒してたのですが。
生まれもった家庭環境による「悪」という価値観、何をもって「救い」になるのか。
台詞の中に「ルール違反」という言葉がよく出てくるのですが、どの登場人物も「生きる」ために、もがいて見つけた結果の「ルール違反」。
ちょっと悲しい気持ちになりました。ちなみに、読後が個人的には悪くなかっただけで、途中までは結構「うわぁ」って描写も多かったです。
でもこの主人公を玉木宏さんが演じられると思うと、映画版も見なきゃ…!

先日、数年前に読んだ小説が漫画化されていたので、懐かしくなって小説を読み返してみたのですが、ほとんど覚えておらず、新鮮な気持ちで読みました。
それはそれで楽しめたのですが、自分の記憶力の低下を感じます…。
さらに読んだばかりの本のレビューを読んで「そんなシーンあったっけ!?」と思ってしまい、結構落ち込みました。
そんな感じですが、次回も宜しくお願い致します。(Y)

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