4.旅とお酒
私にとって旅先でお酒を嗜むことは旅の醍醐味でもあります。 これまでに訪れた約30ヵ国のほとんどの国に多種多様な独自のお酒がありました。 一口にワインと言ってもその国の気候風土を生かして造られているため味や風味が全く異なります。 お酒が好きな割にそんなに強くない私は甘めの物が好みです。 例えばスペインのサングリア(ワインに果物を漬け込んだお酒)やフランスのシードル(林檎を発酵させて造ったスパークリングワイン)など、果実の甘さが加わると一気に飲みやすくなるのです。
中でも最も記憶に残るワインがハンガリーで出会ったトカイワインというデザートワイン。 その名の通りハンガリーのトカイという小さな街で厳しいルールの基造られる希少ワインで、トカイの地理的条件が生み出した産物だと言えます。 ワインなのにとても甘く飲みやすい、まさに飲みすぎ注意の危険なお酒です。
こうして旅先で新たなお気に入りを知り購入して帰れば、美味しいお酒とともに再び旅に出たような贅沢な気分を味わうことができるのです。
一度トルコ土産にラクというぶどうから造られた蒸留酒を購入しました。(ちなみにトルコはイスラム教の国なのであまりお酒のイメージがないかもしれませんが、意外とお酒を飲む人も多く観光地のレストランには大抵アルコールメニューがあります。)
楽しみに自宅に持ち帰ったラクを瓶ごと落としてしまいました。 ラクというお酒は薬のような独特な匂いがするので初めて飲む日本人は苦手な人も多いです。 瓶の破片とともにあちこちに飛び散った液体は何度水拭きしても匂いがとれず、翌日まで強烈な匂いを残してくれました。 せっかく購入したのにもったいないと思ったのも束の間、しつこい残り香によって十分酔わせていただきました。 どちらにしても持ち帰ったお酒は再び旅を思い出させてくれる有難い存在です。 また、旅先ではお酒とジュースの値段が同じか、もしくは安い国が多いことにも驚きます。 大人になった今、旅先で同じ値段だとしたらお酒に手が伸びる人も多いのではないでしょうか。 しかも、周りを見渡せばお昼からお酒を飲んでいる人が日本に比べると明らかに多いのです。
スペイン旅行中、昼間入ったバルで隣に座っていたドイツ人グループと仲良くなりました。 花瓶サイズの特大サングリアで既に顔がピンク色の彼らは初めからとてもフレンドリーで、店のおすすめメニューからプライベートな話題まで話しがどんどん盛り上がります。 ドイツ人と言えば日本人と性格が似ていると言われることも多く少し堅いイメージでしたが、そのドイツ人グループとは最終的に肩を組み写真撮影するほど意気投合していました。
考えてみると、日本でも飲みの場というのは人との距離が近づいたり、知らない者同士でも仲良くなったり、単純に心が開放的になる場所です。 どの国にもお酒があるということは世界中の人がお酒やそういう場を愛しているのかもしれません。 理由はそれぞれだと思いますが、同じ物を愛する者同士、仲良くなれない訳がありません。 お酒を一緒に飲むことで自然と出てくる一体感は世界共通のようです。
そんなこんなで話しをまとめると、やはり旅とお酒は切っても切れない名コンビだと言えるでしょう。
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