デキる人とデキるっぽい人

[201512]

仕事がデキる人ってうらやましいです。

そのデキる像は業種によって違いますが、「パソコンのタイピングの速い人」ってデキる人に見えませんか?

僕の前職は業界紙記者でしたが、タイピングが速い記者に憧れてました。

記者会見などは、たいていテープレコーダーで録音して、あとで文字に起こします。

しかし、彼らは発言をリアルタイムでパソコンに打ちこんでいるため、文字起こしをする必要がありません。

タイピングが速いのは、カッコいいうえ、非常に効率的です。

何ごとも形から入る僕は、さっそく会見にパソコンを持ち込むようにしました。

しかし、バッテリーが切れてたり、MAXに設定されていた起動音が静寂を破ったり、とスタート前からサンザンです。

いざ会見が始まっても、会話の速さでタイピングするなんて、僕には到底できない芸でした。

普通の人ならパソコンをしまうのでしょうが、悲しいかな、それでもデキる人に見られたい僕は、デタラメにタイピングしてデキる人っぽく振るまってました。

内容は当然、

「fんかsphjふぃオアwfr80@?wyf・qぬ・f90hf043ht84」

みたいになるんで、バカ丸出しです。

デキる人をよそおうデキるっぽい人は、滑稽であわれなのだと、ふり返って思います。

今でも、このタイピングコンプレックスはあります。

喫茶店でパソコンを使っていて、隣の人が自分より速くタイピングしてると、デタラメタイピングを披露、「勝ったぜ!」と心の中でガッツポーズしてます。そんな31歳です。

デキる人っぽい人はデキる人へのコンプレックスがその根幹にあるのだと、つくづく思います。

書籍編集の仕事ならデキる人とは、コンスタントに売れる本をつくれる人なのでしょう。

そうすると、デキるっぽい人って何でしょうか? 「あの売れた本は俺がつくったんだぞ」と、うそぶく人なんですかね?

書店員でデキる人はどういう人なんですか? やっぱり、本が売れるシカケを作れる人なのでしょうか? デキるっぽい人となると、うーん、本の知識だけはスゴい人とかなんですかね?

いずれにしろ 「コレさえやればデキる人になれる!」というのはなく、思考と経験を丁寧に積み重ねていくしかないのでしょう。

あのデキる記者だって、きっと少しずつタイピングが速くなったのだと思います。

では自分はどうするか? ビジネスセミナーでも行くべきでしょうか? いや、僕は、その積み重ねに耐えられる体であるように、よく食べて、よく寝るのが一番だと思ってます。

もう12月です。ということはそろそろ正月。クッチャネが推奨される珍しい期間です。デキる人目指して、気がねなく食べて、飲んで、寝るとしましょう。それでは、書店の皆様、よい正月を。(@ra)

 

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