〈書評〉もう春ですね~ ―ぱる通信

[201804]
・・・・あなたの知らない世界 ぱる出版

オリンピックとパラリンピックが終わったなと思ったらもう4月、早いですね。

今月も、少しだけですが小説を読みましたのでご紹介です。

◆雪の鉄樹(遠田 潤子著)

こちらはおすすめしていただいた本です。
ちょっと他に読んでいた本がなかなか進まなくて、気分転換にと読み始めた本だったのですが、いつの間にか夢中で読んでおり。
物語の終盤は、電車の中にも関わらず泣きそうになりました。
確かに重たいのですが、主人公の雅雪と遼平の複雑な関係が切なく、引き込まれました。
人を選ぶ作品、という感想が多かったのできっとそうだと思うのですが、私は好きな一冊です。
こちらの作家さんの話を読んだのは初めてだったのですが、解説でも他の作品に触れられていたので、読んでみようかなと思っています。
また、今回は主人公が庭師なので、庭の描写が多く出てきます。
『釣忍』というのも初めて知ったのですが、画像を見たら想像していた以上に可愛くて、ちょっと欲しくなりました。
見た目が涼しげなデザインがいいかも。

◆異邦人(原田マハ著)

原田マハさんの本は、以前から気になってたのですが、たくさんあってどれから読めばいいのかわからず…。
今回、帯に『「美しさ」は、これほどまでに人を狂わすのか』と書いてあり、気になったので、文庫の新刊でもあるこちらを読んでみました。
この話は画廊・絵画を中心とした話で、たくさんの名画が作品の中には出てきます。
さすがキュレーターさんの書かれる文章だからなのか、絵に対する表現に迫力があり、絵を本当に見ているような感覚。
舞台は京都、一年間の四季の移り変わりと共に話が進んでいきます。
主人公は一輝と菜穂という男女二人。
私は今回、どちらかといえば一輝の方に感情移入、というか肩入れして読んでしまったので、後半はちょっとぐったりしました。
菜穂に感情移入する方が読むと、また別の雰囲気の小説になるのでしょうか。
むしろ菜穂という強烈な存在を中心として読む小説なのかもしれない、と解説に載っている作者のインタビューの引用を読んで、そう思いました。
何かに取り憑かれたように、夢中になることがあって、それを貫き通すというのはなかなか出来ないこと。
だから菜穂の行動は見ていて潔くて格好良くも見えます。
続きが気になる、というよりは、気がついたら読み終えているといった方がいいのかもしれません。
異邦人のハードカバー版の表紙は、文庫本の表紙よりもずっと、中身をイメージしやすいような気がして私は好きなのですが、それでも文庫版のカバー画の解説を見るとまたこちらがしっくり来るような気もするので、カバーも含めて、不思議な引力がある一冊でした。

オススメしていただいた本は、少しずつ読ませていただいてます。

ありがとうございます!面白い本がいっぱい読めて楽しいです。

それをどう書けば面白さが伝わるのか全くわからないままだらだらと書いていますが…、次号も宜しくお願い致します。(Y)

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