・喧嘩好き!?
異文化に触れ、異国の人達と出会って感じることは、日本以外の人は基本的にとてもエモーショナルだということだ。
いや日本以外というよりは、関東の人以外はと言った方が正確かもしれない。
僕は色々な事情があり、NYで何度も引越し、5,6箇所に住んだ気がする。
何度目かの引越しで僕たちはNYのハーレムに住むことにした。地下鉄4,5,6号線の125st駅からすぐの、イーストハーレムの真っ只中である。
そしてもちろん、そこの主な住民は黒人の方々である。
と言っても、当初心配していたような発砲などは茶飯事的に見られることはなかった。
普段はなんだかんだ言って気のいいおじさんやおばさんたちなのだ。
ただ彼らからは日本人も韓国人も中国人も全く同じに見えるらしく、通りがかるごとに「チャイニーズ」とか「ニーハオ」とか言われたりした。。。
まあ僕らだってアフリカの人達に出会ったら、アフリカのどこの国の人かなんてさっぱり分からないだろうし、南米の人を見て彼らを見分けることも至難の業であるのだから文句もいえない。
まあそんなこんなで、普段は特に危ないこともない彼らなのであるが、いざ感情が爆発すると絶対に収まらないのだ。
金曜の夜など家に帰るために、4,5,6号線などを乗っているとしょっちゅう喧嘩がはじまった。
何かどちらかがちょっと押されたとかなんとかなどの、非常にささいなことでそれは始まる。
でもそんな場合でも、喧嘩になった人達の家族や友達などが隣にいるばあいが多く、その喧嘩の間に入っていく。
息子や娘などが母親の喧嘩に入っていく場合もある。
それで僕は、「ふーやれやれ、客観的に見ていた冷静そうな子供たちが喧嘩を止めてくれるだろう」と心の中で思ったのであるが、、、
実際はそのまったく逆である場合がほとんどであった。。。
つまり、喧嘩にめちゃくちゃ加勢するのだ。
それでお互いめちゃくちゃなことを言いたい放題である。
なんか「売春やろー」、「尻軽女」的なことを、感情マックスで言い合うのである。。。
もう周りの人も慣れっこであんまり止めようとかしないし、下手したら止めようとする周りの人も超悪口を言われるので、逆上してその人達もさらに参戦なんてこともままあったりする。。。
さらにいつのまにか飛び火して、全然関係ない人同士もみんな巻き込まれて全体的にエモーショナルになっていったりとか。。。
・こっちは喧嘩じゃない
でもこんなに感情豊か(?)なのは何も黒人の方々ばかりではないのだ。
チャイナタウンだってめちゃくちゃにぎやかだし、韓国の方々も非常に情熱的である。
僕が韓国に留学したのは20台前半の頃だったが、僕を歓迎してくれた向こうの友達たちと夕食を食べに行くことになった。
ところが彼らが突然大声で喧嘩をはじめたのだ。
当時、僕はまだちょっとしか韓国語が聞き取れなかったものだから、日本語のわかる人に「何でそんな大声で喧嘩をしているのですか?」と聞いてみた。
そうしたら、答えは「喧嘩しているんじゃないわよ、何を食べに行くか話し合っていただけよ」とのことだった。
「えっ、、、」
しかもその時一緒に大声で何かを主張していた人達の中には、40代や50代の方々もいたので、僕のカルチャーショックは大きかったのである。
まあその大声での議論のかいあってか、その日はとても美味しい鴨料理を食べさせてもらった。
今でも覚えているほどやわらかくて美味しかったので、まあいっかという感じである。
そもそも中国語には四声があるし、英語にはアクセントがあり、韓国語には激音という弾ける様な音があるので、日本語よりも感情的に聞こえるのである。
その上、彼らは本当に感情を乗せて話すので、ふだん息を吸うような感じで話している日本の話し方に慣れていると圧倒されたりするのだ。
特にどちらが良いとか悪いとかではく、そういうものなのだ。
沖縄の人はどうか?男性は無口で女性同士はわりとにぎやかな感じがする。
でも実は普段寡黙な男性の方々もお酒が入ると、三味線を片手に歌いだしたり、踊りだしたりして普段貯めている無口預金を一気に引き出して使っているようである。
まあそんなこんなでまとまりのない文ではあるけれど、あえて今回の文に結論をつけるとすると、「みんな愛すべき人達である」と言う事である。
皆を愛さなければならないという訓戒めいたことではなくて、そういった違いがあるんだなーと思って彼らを眺めていると自然とそういう感情が沸くと言うことである。
電車の中で突然切れ出す黒人の女性たちも、一生懸命大声で商売をしている中国の方々も、何がしかを得意げに主張せんとしている韓国のおじちゃんなども、お酒を飲みながら楽しそうに踊る沖縄のおいちゃんたちも、みんな同世代に生まれてきた仲間。
自分の内にある感情を素直にそのまま発露しているのだなーと思うと、「疲れないのかな」とか思うこともあるが、羨ましく思ったりもするのである。
そんなこんなでとにかく皆「愛らしい」のである。
ただそれも、相手の言葉が分かる場合である。
相手の話している言葉が分からないときは、「なんだかやたらとうるさく品のない人達だな」などと、自分の物差しで相手を批判してしまうことがあるので要注意である。
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