31.石油ストーブやヤカンが歩き回る世界
・なんかかっこいいいよね、スチームパンクスチームパンクというジャンル、ご存知ですか。 思いっきり乱暴に言えば「蒸気機関でコンピューターを動かす」みたいな世界観のやつです。 電気じゃなくて蒸気がメインの世界。あのほら、ラピュタみたいなの。
元はと言えば、19世紀イギリスのチャールズ・バベッジというおじさんが蒸気で動く計算機をアレしたことがそもそもの始まり。 気になる方は「バベッジの階差機関」でググってください。天才少女プログラマーも出てきて、なかなか興奮できる近代史トピックなんですよ。
まあ難しいことはともかく、歯車と蒸気パイプとバルブでごちゃついたメカが精緻な動きをして超現代的な機能を発揮するのってかっこいいよね、というのはスチームパンク界隈の入り口です。
ローテクガジェットと融合したヴィクトリア朝ファッションの様式美は説得力があります。 かっこいいです。 ところでこちら。 非常にオーセンティックなスタイルの石油ストーブにメカい手足が生えており、自分の意思で歩いたり、ヤカンを乗っけたり、スルメを炙ったりしそうな格好をしております。 かわいい。 人間の脳は、丸くて平べったいお掃除ロボットでさえ「かわいい」と認識できる能力がありますから、手足が生えたポンコツ系ロボがかわいくないわけありません。 このようにバラバラのキット状態で頒布されております。 ヤカンもあります。かわいい。 ニョキッと伸びた脚も、もはや五徳と言ったほうがふさわしい趣があります。 蒸気圧を示すゲージもかっこいいですが、赤いバルブが差し色として決まっています。こういうとこ、造形センスが出ますね。
すばらしいのが向かって左側の圧力弁の帽子型のオモリ。古い圧力鍋にあった「ぴー! しゅー!」と鳴ってグルグル回るアレですね。 なつかしい。 カーチャンが圧力鍋で大学芋を作ってくれたことを思い出しました。 そのメカの機能と技術年代を一発でわからせるディテール。すばらしいです。
・あたたかみのある展示の裏のアイデア ストーブの展示見本は電飾されておりました。 光が非規則にまたたいて、本当に炎がゆらめいているように見えました。
聞けば、3つのLEDの点滅周期をずらして非同期にしていること。 つまり、LEDがひとつだとチカチカするだけで炎に見えないわけです。 3つのLEDが足並みを揃えないで点滅するので、リアルな炎感が出てくるのですな。
キットに電飾パーツは入ってないので、自分で改造する余白があるんです。 「改造しなきゃいけない」と考えるとつまらんので、「自分で手を入れることができる」と考えましょう。
なんだか、かなり日本的なスチームパンク。 サークル「ぺこぽこ」さんの作品でした。
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