4.なぜボランティアをするのか

・「被災地を見てみたい」は不謹慎だった

2011年6月に初めてボランティアで岩手県陸前高田市を訪れるまで、疑問に感じていたのは、「なぜボランティアをするのか」「どういう人がボランティアをしているのか」の2つでした。

震災後2年以上経過した現在では「理由はともあれ、被災地に足を運んでほしい」という声が大きくなっていますが、震災後半年ぐらいのときには、被災地は観光地ではないのだから、

「被災地を見てみたい」

という動機は不謹慎。

野次馬が増えると、がれき処理など復興の妨げになるという風潮でした。

私も「被災地を見てみたかったから」とは表立ってはいわなかったような気がします。

 

他の人はどうなのかをボランティアツアーの参加者だけではなく、個人でボランティアに来ている人にも聞きました。

きちんとした動機があるだろうという予想に反して「なんとなく」「特には」というのが一番多い回答でした。

 

その中で明確な答えを持っている男性が3人いました。

「大学時代の4年間を過ごした宮城の復興の手伝いをしたいと長野から通っています」

「震災が起こった前年の夏に観光で陸前高田を訪れました。そのときに見た松林と砂浜が続く『高田松原』が忘れられない。早くその当時に戻ってほしいから……」

「中学校の教員をしています。災害復興支援ボランティアをしたことを担当の生徒たちに伝えると、A4の紙に目一杯感想を書く生徒もいて、関心の高さがわかりました。それ以来、2カ月に一度ぐらい通っています」

 

南三陸では、ボランティアをしていた地元の女性とも話しました。

「私は自宅も職場もあり、家族や友人も失っていない。震災前と何も変わらず、恵まれた状況にあるから、少しでも役立ちたくて……」

 

・明確な動機はなくていい

ボランティアをする理由を知りたくて、これまで50人以上の人に聞きました。

私も数え切れないほど活動をしてわかったのは、「ボランティアをしたいからする」ということ。

ボランティアをするのに理由はいらないのです。

当初、ボランティアをしている人は、

「被災者の力になりたいから」

「困っている人の手助けをしたいから」

という思いで行動していると、想像していました。

しかし、こういう動機だと1~2回ぐらいはできても、長く続けることはできません。

 

自分が「want(やりたい、したい)」からボランティアをするのであり、その原動力となるのが楽しさや充実感です。

それを徐々にお伝えしていきます。

南三陸
骨組みだけになった宮城県南三陸町の防災対策庁舎。最後まで避難を呼び掛けていた職員が流されてしまった。いったん取り壊しが決まったが、保存の陳情が相次ぎ、再検討中。

 

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