20.今回エッセイを書いてくれた方:エンターキー

エンターキー

・「恋煩い」

恥ずかしながら私は久しぶりに恋をしてしまった。

この気持ちが最近どうにも抑えられなくなってきたので

いっそのことここで皆さんにその話を聞いて頂ければと思う。

 

まずは私が想いを寄せている相手についてだが

それは「小指さん」である。

薬指でもなく中指でもなく、

なぜだか今、小指さんに惹かれているのだ。

 

小指さんは見てくれは華奢で弱そうだがとても頑張り屋さんだ。

私、エンターキーはキーボードのキーの中でも体が大きいため

押す時は特に力を入れなければならないのだが

小指さんはいつも一生懸命に私を押してくれている。

私は彼女のそういった姿にだんだん惹かれていったのではないかと

自分で思っている。

 

小指さんを意識するようになる以前から

彼女には何かある度に一言声を掛けるようにしていた。

「今日は暑いですね」とか「いつも御苦労さま」とか…

しかし最近はどうにも恥ずかしくて

何を話せばいいのか分からなくなってしまったのだ。

彼女と接触できるチャンスは

一日の内にそんなにたくさんあるものではない。

というのも私を押すのが必ず小指さんであるわけではなく、

薬指や中指が私を押しに来る場合もあるからだ。

キーボードを打つ手の動きを見ながら

「この流れだと次に私を押すのはこの指だな」という風に

私はいつも予想しながら

小指さんと接触できる機会を待っているのである。

 

時々「次は間違いなく小指さんだな」と思っていたら

手のちょっとした気まぐれで

全く話をしたことのない人差し指が来たりすることもあるから

その時は小指さんが来た時以上に

どうすればいいのか分からなくなってしまったりする。

 

最近、私の頭の中を占めているのは

「どうすれば小指さんともっとお近づきになれるか」ということばかりだ。

普通キーボードのキーは「V」と「B」とか「1」と「2」とか

隣で働いている者同士が仲良くなってカップルになるものなのだが、

私以外で指に恋をしている者がいないため、相談をする相手もいない。

 

一応キーボードのキーの中では

管理職として皆をまとめているというのに、

この年で恋煩いをしてしまうとは思いも寄らなかった…

 

鎌形のお礼コメント:

エンターキーさん、ありがとうございました。

ですがどうも内容的には

その時のテンションに任せて書いたという印象を受けます。

おそらく後日インターネット上で公開されたこのページをアナタが見たら

夜に書いたラブレターを翌朝読んだ時のように恥ずかしくなって

改行どころではなくなってしまうのではないでしょうか。

ですが今回はあえて頂いた原稿をそのままの形で公開させて頂きました。

この時の気持ちを大事にして

小指さんと上手くやっていって頂ければと思います。

 

次回エッセイを書いてくれるのは…

未定です、お楽しみに。

 

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