22.大人の夏休み工作ロボット

・ 焼けぼっくいに火をつけろ

 これは「男性あるある」ですが、誰しも子供のころに牛乳パックやトイレットペーパーの芯などをつかってロボットをこさえたことがあるのではないでしょうか。

夏休みの工作とかで。

多くの少年は夏休み最終日になんとかロボットをでっち上げてそのままチャラい大人になっていくものですが、ピュアな気持ちを持ち続けて二足歩行ロボットの研究に進んでしまう人もいますよね。

いると思うんですよ。

大学や高専でロボット研究をして、工業関係の仕事に就き、現場で確かな知識と技術を身につけてきたその男性が、再び「夏休みロボット少年」のハートを思い出してしまった場合はどうなるでしょう。

「焼けぼっくいに火」という言葉がありますが、一度消えたはずの衝動が時を経て再び燃え上がってしまった時の完全燃焼っぷりときたら、どんな場合でも手がつけられないものになりがちです。

こんなふうに。

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 ・研究室レベルの動きをする

 個人サークルMPMは、紙と竹ひごを材料とし、輪ゴムの動力で動くロボットを多数作っています。

ボディは言うまでもなく、歯車もクランクも紙工作。

なのに、このロボットときたら「動歩行」をするんですよ。

動歩行というのは、人間と同じように重心移動とともに足の裏が地面から離れる歩き方のことです。

ホンダの二足歩行ロボ「アシモ」とかがコレですね。

対になる言葉は「静歩行」で、これは昔のオモチャのロボットがするような摺り足歩行みたいなものと思ってください。

倒れにくいかわりに平地でしか歩けない。

紙製の、しかもゴム動力のロボットがですね。

大企業のトライアルメカレベル、もしくは大学の研究室レベルの動歩行をするんですよ。異常事態なんですよこれ。

(動画URL https://youtu.be/2yfEYq3BhaQ

 

・まずやってみたから可能性が見える

MPMさんは初老の男性なのですが、工業関係の仕事をしてきたホンモノの技術をファニーな紙ロボットに注ぎこんでこんなものまでこしらえていました。

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 キャラメル箱の頭、石鹸箱のボディ。

実にもうなんというか、夏休みの工作です。

でもゴム動力で歩くんです。

こっちは静歩行です。

紙ロボットを作るそもそもの動機が江戸からくり人形を紙でつくることや石鹸箱ロボットを動かすことだったらしいんですが、ペーパロボット1号機を完成させてそれでおしまいとはなりませんでした。

単なるノスタルジアで治まるようなことではなかったんですね。

そりゃまあ、当たり前といえば当たり前のことで、一個作ったら「あれもできそう、これもやってみたい」というふうに欲が出るものじゃないですか。

経験を通すと自分の力量もわかるし、同じ素材ややり方でも、もっとできることが見える。

可能性と改善点がありありとわかるわけです。

摺り足歩行ロボを作った経験によって動歩行ユニット作成の可能性を見いだせたわけです。

紙工作の可能性を知らない我々なら最初から不可能だと決めつけてしまったはずの(バカバカしいまでの)超絶チャレンジに向かっていくことができたわけですよ。

 

・趣味はその行為そのものが目的になる

仕事で身につけたプロの技術を持ついまの自分なら、子供のころに作ったあのロボットをすげえクオリティで作ることもできる。

バカバカしいことに思いっきり真面目にテクニックを注ぐのはおもしろい。

プロの技術で作られたアホなものは楽しいです。

石鹸箱のロボットを子どものころと同じ素材を使って歩かせることができた、と。

紙工作でもっと複雑なこともできそうなので、とことんやってみた、と。MPMさんのロボットの8世代のバージョンアップを見ると、技術や工作そのものを楽しんでいるのがよくわかります。

趣味はその行為そのものが目的になるものです。

ガレージキットでよく言われる動機に「欲しいから作る」があります。

しかし、もっと純粋な「作りたいから作る」って動機もあるんです。

アレが欲しいとかじゃないの。できるかできないか、やってみたいの。

そんなバカバカしい動機でしか到達することができない高みというものも実際ありまして。

この二足で動歩行をする紙工作ロボットなんかは技術に対するピュアな欲求からしか出てこない発想なんです。

MPM

http://www.geocities.jp/kikousya290821/mpm.html

 

次回は「野鳥のブローチを55年間作り続けた男」です。

 

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