23.野鳥のブローチを55年間作り続けた男
異常な量の鳥のブローチが展示されているブースを発見。 ちょっとかわいい印象で、ワンダーフェスティバルでは珍しい部類です。 しかも鳥の種類がめちゃ多い。 白いボードを三面立てたディスプレイもきれいだし、下の方には引き出し付きの収納ケースがあって在庫のシールが貼ってあります。 非常に整理された機能的なブースです。 これはタダモンじゃない気配が濃厚です。
・75歳、喜寿間近のプロディーラーいろいろすごいなと思い、撮影の許可を求めようとブースをのぞいてたら背後から声をかけられました。 あわわ、このディーラー、おじいさんじゃねえか。 つまり、おじいさんがちょっとかわいい鳥のブローチ作ってるんですよ。 鳥ブローチの作家はラブバードテルアキさん。北海道の帯広からやってきたそうです。 75歳にしてワンダーフェスティバルに堂々のディーラー参加。なんかもうびっくり要素が多いです。 ブローチの作りがきれいなことを言うと「当たり前だよ、55年、毎日作ってるんだよ」と得意げです。 どうして毎日なのかというと、趣味ではなくプロなんです。 55年間これしか仕事をしていないというじゃありませんか。マジかと。超ベテランのパイセンじゃねえか、プロの野鳥ブローチ職人じゃねえかと。
・ベテラン過ぎて死亡説まで流れるラブバードテルアキさんは野鳥のアクセサリーを木彫で作って、自分のところで売ったり、全国の観光地にあるおみやげ屋へ卸したりしている模様。 なので、みなさんもどこかの観光地でこのブローチを買ったり見かけたりしているかもしれません。 なにしろ55年間も売られ続けているのです。 見かける機会ならなんぼでもありますな。 長年続けられているので、なんと死亡説まで流されるほどだというのですが、この件は本人に直接聞くのがいいと思います。 観光地のおみやげクラフトというとワンダーフェスティバルの中ではちょっと異端なのではないかという気がしますが、まあ見てください。 人気のハシビロコウを押さえてくるあたり、機を見るに敏。 アラウンド喜寿にして目端の利くお方です。 インターネットでも、ハシビロコウへ反応する人は多かったですね。 そしてワンフェス合わせの新作としてワライカワセミをチョイス。 オーストラリアに棲む鳥なのですが、縄張りを示す鳴き声が人間の笑い声に似ているのでこう名付けられています。 無人島漂流アニメの歌の歌詞になったりもしましたね。 ちなみにワライカワセミ。動物園に行った時にこの鳥の檻の前で鳴きマネをしたら縄張り荒らしと思われたのか、ものすごく反応された事があります。 私、鳥にマジレスされたことがあるんです。 それほどまでに人間の笑い声と似た音域だということなんですが。ええ。
・手作りなのでひとつひとつに個性がある展示パネルの土台になっているのは引出し付きのボックス。 ここに材料などが入っています。 在庫と材料を持ってきているところがベテランの経験値を感じさせます。 初WFとは思えないイベント慣れしたブースセットです。 在庫表示なのでしょう、テプラに書かれたカラスの文字がそそります。 カラス、好きなんです。 そして「堀り型」。材料である木を鳥の形に切ったものです。 こいつを削って、水彩で色をつけてウレタンクリアでコートすると、野鳥ブローチが完成します。 手作りなのでひとつひとつに個性があるところがファニー。 通常のガレージキットの場合は、原型を複製して量産します。 ワンダーフェスティバルにおいて完全なハンドクラフト、一個一個違うモノは珍しいんですよ。
・小さい博物館、立体の鳥類図鑑ものすごく多くの種類の鳥があるのがわかりますか。 タンチョウ、エトピリカなど北海道を代表するような鳥もあれば、ミミズク、メジロのように全国に生息する鳥もあります。 シロフクロウやハシビロコウなどの人気キャラはもちろん、生活に身近なスズメやカラスなどの地味目な留鳥もちゃんとある。 立体の図鑑といいますか小さい博物館といいますか、これだけの豊富な種類の野鳥をすべて手づくりでそろえ、しかもディフォルメを効かせつつ鳥の特徴をしっかり捉えた造形は、一見してなんの鳥なのかがわかりやすいんですわ。 これはお土産物を作り続けたプロのテクニックが見えるところです。 ちょっと落ち着いて整理してみましょう。 全国の野鳥を思いつく範囲でほとんど揃えたラインナップ。 人気の鳥もだいたいある。 キャラクター性の強い、わかりやすい造形。 整頓された材料と在庫、見やすい展示。 55年間休みなしで鳥ブローチだけ作ってきた喜寿間近の現役職人。 たとえば鳥ブローチを商う企業があったとして、これ、どれだけできると思いますか。 ワンダーフェスティバルは「世間に潜む化け物」と逢うことができるイベントです。 ラブバードテルアキさんもまた、ある種の鬼神でございました。 ラブバードテルアキ
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