【緊急番外編】学生時代の落書きロボがプラモデルになりそうな人の話

・自分で考えたロボットがプラモデルになる

アトム世代、ガンダム世代、エヴァンゲリオン世代。

なんでもいいですけど、世代を問わずロボットが好きな人っていますよね。君もそうだろ?

 

学生時代、ルーズリーフにオリジナルのメカなんか描いて、

「(ゴロゴロ~、ゴロゴロ~)あ~あ、これがプラモデルになったらなあ」

と夢想したり、友達と、

「マンガにして、アニメ化して、バ○ダイからプラモを発売だぜ」

なんて盛り上がってみたり。

多くの人はその道のりの遠さを知り、プラモデル作りを趣味に楽しく生きていくわけですけど。

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▲20年前のラクガキがプラモデルになりそう

いまその夢に手がかかってる連中がいるんですよ。

以前、この連載で紹介した「NZインダストリアル」というガレージキットサークルです。

過去の記事です。

http://web-pal-pub.jp/archives/602/.html

 

・世界中のみんな、オラに力を分けてくれ!

クラウドファンディングって仕組みがあります。

Wikipediaには”不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うこと”とあります。

言い換えると「このプラモデルを製品化したいから、世界中のみんな、オラに力を分けてくれ!」みたいな感じです。

たくさんの人にちょっとずつ力(マネー)を借りて大きな成果を成し遂げたい人のための仕組みです。

クラウドファンディングの成功例はたくさんあって、映画を作ったり、仮設住宅を作ったり。温泉テーマパークを実現させた例もありましたね。

クラウドファンディングは寄付ではなく投資なので出資者にはリターンがあります。この場合はプラモデルがもらえるんです。
 

・ガレージキットとプラモデルの違い

おっと。ここで疑問点があります。

このサークルはすでにオリジナルロボットを作っているじゃないかと。そうなんですけど、既存の立体物は「ガレージキット」。今回作ろうとしているのは「プラスチックキット」。両者には大きな違いがあるんです。

複製するための「型」の素材が違うんです。

 

プラモデルを作るのに必要なのは金属製の金型です。

どろどろに溶けたプラスチックを金属の型にすごい圧力で撃ち出して成形します。

金属じゃないとできないんですね。

ところがこれが非常に高価。高級車が買えるお値段です。

金型を彫るのも手彫りってわけにはいきません。

コンピューターと専用機械を使うので、こりゃもう工場がやることです。

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▲金型です

そこで趣味人は手作りできて安上がりなシリコンで型を作りました。

手順を大雑把にいうと「原型を液体のシリコンに沈めて、固まったらシリコンを切り裂いて原型を取り出す。シリコンに残った穴ぼこに合成樹脂を流し込んで複製を作る」のです。

イメージとしては歯医者さんの歯型作りに近いです。

柔らかい型を作って石膏で歯型を作るアレ。

シリコン型でロボットの原型を複製したものがガレージキットです。

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▲シリコン型にレジン(合成樹脂)を流し込んで固めるDIYの世界

型が柔らかいということはたくさん複製を作ることができないんですね。型が壊れちゃう。だからガレージキットの単価はお安くできないんです。

初期投資が安く済むシリコン型のガレージキットは単価が高い。

プラモデルは金型が高価な代わりに製品をたくさん作れる(ので単価を抑えられる)。

同じロボットの立体物を作るんでも、両者の間には深くて大きな河が流れているのです。

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▲左がプラモデルの試作品で右が原型

 

・夢のある話じゃないか

金型は高い、高すぎる。

アマチュアモデラーがどんなに願っても、オリジナルのプラモデルを作ることは現実的に不可能とされてきました。これまでは。

時代は進んで、3Dプリンタや安価なCADソフトの普及など立体造形に関する社会のノウハウは充実してきました。

クラウドファンディングという資金調達の手段も生まれました。

機は熟した、と言って過言ではありません。

あとは誰が先鞭をつけるか、です。

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▲CAMPFIRE:世界中でここにしかない完全オリジナルのロボットをインジェクションプラキットに!

https://camp-fire.jp/projects/view/52915

「インジェクション」とは、金型にプラスチックを射出(injection)することを指します。

モデラーはガレージキットとプラモデルを区別するとき、かっこつけて「インジェクション」と呼ぶんです。許して。

学生時代に描いたラクガキがプラモデルになる。ドラえもん級の夢が実現できる時代になったのですな。

このクラウドファンディング、参加してくれとは言いませんが、この事実を知っていただきたいのです。

とある趣味ジャンルの世界で不可能だと思われていたことが、技術や仕組みの発展、あと少量の熱意によって、そろそろ実現しそうなのだと。もうちょっとなのだと。

あ、でも。もしこのプラモデルが欲しくなったらすぐに参加した方がいいです。限定製作らしいので。

 

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