・あと1万円だけ。あと1万円だけ……
※本題に関係ないが、最近37歳になった。しかし、今さらタイトルを変えるわけにもいかないので、このまま進めさせていただこうと思う。
「フィーバー♪」
「ジャラジャラ?」
そんな音色の刺激と出玉の流れ出てくる快感のために、どれだけのお金と時間をつぎ込んだだろう。
学生時代から社会人2?3年目まで、パチンコ屋にはよく通った。
大して研究をするわけでもなく、直感で台を選び、迷いもなく1000円札を投入していく。
最初は「まあ5000円くらいあれば大当たりを引けるだろう」と余裕を見せているものの、投資額が1万円に近づいてくるとさすがに落ち着いていられなくなる。
当時は、1玉4円の設定しかなかったので(今は、1玉1円のようなローリスクローリターンな設定も増えているようだが…)、1万円など、早ければ1時間もしないうちに呑み込まれてしまう。
悲惨なのは、朝一から並んで台をとったとき。
1万円をあっさり吸収されたとはいえ、時間はまだ午前11時。今日は一日中パチンコ屋で楽しむつもりだったので、他に予定などない。仕方なく、ATMで預金を下ろす。
あと1万円だけ。あと1万円だけ……。
気づけば1日で10万円近く吸い込まれたこともあった。
・パチンコという名の魔力を遠ざけたもの
もちろん、同じくらい勝てたこともあり、その感覚があるからやめられないわけだが、ある日を境にパタリとパチンコ屋には行かなくなった。
理由は、本コラムの「その2」でも書いたように、タバコを止めたから。
当時のパチンコ屋は、分煙という配慮はなく、すべての台が喫煙可能だった。
禁煙を始めたのに、隣の人の煙がモクモクと顔を覆ってくる。
これはたまらん、と足が遠のいた。
結果として、大当たりの快感という魅力と臨時収入の可能性は失ったものの、健全な金銭感覚と有り余る時間を手に入れることができた。
あれから11年。
パチンコには手を出していない。
もし手を出したとしたら、きっと私には「ビギナーズラック」という大当たりの快感がもたらされるであろう。
そしてまたその快感に取り憑かれるに違いない。
それが分かっている以上、あの魔力には近づいてはいけない。
少なくとも住宅ローンをすべて返し終わり、定年を迎えるまでは……。
(了)
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