1.僕と日本語

・寒いです。とにかく寒いです

NYに着いたのは、2009年の12月。

あの日はとても寒かった。。。

いや寒かったという言葉では表現出来ない。

極寒である。

なんと5度!!

なんだ5度かと思ったあなた、5度は5度でもただの5度じゃないのだ。

華氏5度だったのだ。

ズボン(パンツと言った方が今風ですかね)の下に、ズボン下(もしくはステテコ)をはいても、まだ寒いのである。

ズボン下といっても肌色のやつじゃないし、ステテコと言っても、おじちゃんなどがそれだけで夏などは玄関先まで出て植木に水をやれるような白のタイプのものでもなく、黒のすっとしたタイプのものであったことを付記しておく(横浜っ子は面子が命なのだ)。

しかたがないから、ステテコを二枚はいて計三枚で、いやパンツまでいれると計四枚で下半身をおおったのであるが、それでも寒いのである(このパンツはつまりパンツのことである。つまりパンツ、ダブルステテコそしてパンツの順だ)。

この華氏は三年いてもややこしいのだが、華氏5度とは、(今調べなおしたところ)摂氏マイナス15度のようだ。

寒かったはずである。

今僕のいる沖縄は同じ12月でも、プラス15度くらいだから雲泥のちがいである。

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・ニューヨーカーの生き方を訊く!

というわけで、最初の話はNYでのことである。

NYで二年ほど暮らした後のことだろうか、もう留学費用も尽きて、仕事でもしないとなーと思っていたある日、新聞で日系の不動産屋の求人広告を見つけた。

「オーこれは!!まがりなりにも不動産についての本も書かせてもらったし、結構高給がもらえるのでは?しかも僕の得意分野のはず!!」と勘違いしながら、ちょっとテンションもあがり電話をした。

「すみませーん、求人広告をみたんですけど」

そうすると、なかなか感じのよい女性の声の返事があった。

「あ、はいそれでは履歴書をEメールでおくり、一度こちらにお越しください」

うん、好感触である。

留学生はビザがないとおおっぴらに働けないのであるが、こちらには「ビザのサポートも可」とも書いてある。

「これは僕のために出された求人広告だな」とか独り言をいいながら、さっそく履歴書をまとめ、「丁寧な感じでメールをおくらなければ」と心の中で決意を固めた。

履歴書は書くべき内容があまりないことをカモフラージュする為に、無駄な項目を自分で勝手に削ったというネット上のつわもののブログを参考に、昔ワードで作ったやつをアレンジしてさくさくと作る(資格の欄などはそんなに何行も不要なのである。)。

ただし、昔の履歴書の内容のまま出すと、希望動機が「働きながら料理のレパートリーを増やしたい」などとなるので要注意である。

そこは、「働きながら不動産の知識を増やしたい」などと最小の労力でアレンジする。

そして細心の注意をはらって丁寧なメールを書いて、最後にはじめて行くところだったので、「行き方」を教えて下さいと付記してみた。

「行き方」なんてものは、はじめての場所でも住所を見ればNYの場合すぐに分かるのであるが(街が超システマチックに碁盤の目になっているし、アベニューとストリートにシンプルな番号がふってあるため)、なんとなくそんな質問を付記することで、面接前に返事がもらえるだろうし、メールがちゃんと届いたかの確認にもなるかなと思ったのかも知れない(今となっては何で当時それを付記したのか、はっきりとは覚えていない。。。)。

送った後に、送信済みメールを一応確認してみた。なにか不手際はなかったかなという確認である。

そのメールの最後の部分に僕が数分前に書いたしまった一文はこうなっていた、、、、

「そちらの生き方を教えてください」

。。。驚愕の漢字の誤変換である。

見ず知らずの人に唐突に哲学的な問いをされてしまった、不動産屋さんの「なかなか感じの良い声の女性」はさぞ戸惑われたことだろう。

なんか天気の話をしたかと思えば、結局日本語の漢字誤変換の話である。

全然異文化や・異言語と関係のない話を書いてしまった。。。

異言語の前に日本語も難しいのである。

というわけで、次回はちゃんと異言語の話をしたいと思う。

付記

実は例のステテコは僕のではなく、奥さんのものを借用していたのだが、この記事を書きながら奥さんに聞いてみた。

「あの黒いスッとしたステテコはどこで買ったやつだったの?」

彼女の答えはこうだった。

「あれはわたしが買ったんじゃないよ。」

「どういうこと?」

「あれはお母さんがはいていたやつをもらってきたの。」

「えっ。。義母さんのやつだったの。。。。。。」

 

うーん。。。浜っ子の面子台無しである。

 

ちなみにそれでも僕は、義母のステテコ二枚をはいてxxx不動産に面接しに行きはした。幸い、なかなか感じの良い声の女性は受付におらず、男性の方に面接をして頂いたのだが、この人も僕のメールを見たんだろうなーと思えてならなかった。

結局採用にはならず。その後も、財布も身も寒く、義母の黒くてスっとしたステテコをはきつづける日は続いたのである。

 

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