26.Firewood
昨年、同じ市内にある一軒家に引っ越した。 ここアメリカ北東部の冬はとても厳しいから、暖炉と煙突のセットは大抵の家についている。 我が家は、引っ越すまでは、ずっとコンドミニアムに住んでいたんだが、住んでいたコンドミニアムの暖房システムはヒーターだった為、暖炉で火を燃やした事がない。
嫁さんが12月近くになってきた頃、「そうだ、Firewoodを注文しなくちゃッ!」と突然言い出した。 Firewoodとは暖炉で燃やす木の事。 近所のホームセンターで数本だけ束になったのが売っているが、数本ではまったく足りないらしい。
小さい頃、雪国で育ったアメリカ人の嫁は「冬は暖炉に毎日、火をつけていたから沢山必要よ」と言う。 そんじゃあ注文するかと、広告で見つけた業者に、嫁さん早速電話。
電話の後に「数日後にトラックで持ってきてくれるって。で、家のドライブウェイに置いてってくれるんだけど、私はいないからお金だけ払っておいて~」と嫁さん。 「トラックで?一体どれだけ持ってくるんだ?」と聞き返すと、1cord (1コード)との事。
なんだその単位?今まで聞いた事がないぞ。 嗚呼、恐ろしい。
調べてみると、1 cordとは3.62 m3にもなる体積の量を指すらしい。 おいおい、3.62 m3の量のfirewoodを家のドライブウェイに置いてくって、普通に考えて相当な量だろ…….。 「置いてくって、適当にトラックの荷台を斜めにしてドライブウェイにドカッと落としていくだけでしょ?相当な量になるはずだよ、それを我々で積み上げるって事になるんだろうけど、かなりの重労働になるぞ!まさか、彼らは家の横とかに綺麗に積み上げてくれないよね?」 とオイラが聞き返すと、 「どれだけの量になるかは、分からないけどたぶん大丈夫じゃないかしら。もしかしたら積み上げてくれるんじゃないかなあ」 と、いつものように適当な返事の嫁さん。 で、配達してくれた当日の夕方、トラックで駆け付けたドライバーの兄ちゃんが「いや、我々はドライブウェイに置いていくだけですッ」とサラッと一言。 予感的中、やっぱり積み上げちゃくれない。 ドライブウェイにトラックを入れて、大きなトラックの荷台を斜めに傾けて思いっきりドカッとfirewoodを落とした。 その量たるわ、相当な量。 こりゃ積み上げるだけでもかなり時間が掛かるだろうと容易に予想できる。 予想以上の量かつ、見ただけで結構な精神的ダメージを受けた量なので、その日はまったくやる気にもならなかった。
翌朝、積み上げ方をネットで調べて、朝から作業開始。 いやいや、firewoodって持ってみると、一つだけでも結構重量あるんです。 それを3.62 m3分積み上げるって… 案の定予想していた通りの重労働。 裏庭にカートで運んでは積み上げてをひたすら繰り返して、5時間後にようやく積み上げ終わった。 外は寒いし、手の握力はもう全然ないし、腕はもう上がらないぐらいにヘトヘト。
ちなみにこれだけの量でお値段は$250。 ただの暖炉に使う木だけど、安いとみるか高いとみるか。 その後、友人に大量のfirewoodの愚痴をこぼしていたら、 「切ったばかりのfirewoodは水分が中にあるから、あまりよく燃えねえよ。積み上げてから2,3年放っておいてから使うんだよ、そうすると乾燥して良く燃えるんだよ。そんな事も知んねえの?」 との事。東京育ちのオイラがそんな事知るわけないじゃんよッ!!どっと疲れが出ました。
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