12.光る兜の緒を締めて、天突くドリルの一回し #wf2014s

・穴を掘るなら天を突く、墓穴掘っても掘り抜ける

五月人形の武者飾りには男の子に対する両親やおじいちゃんおばあちゃんの願いがこもっていますよね。

強く、逞しく、成長してほしい 天も、次元も、突き破ってほしい

そうそう。

こういうの。

元気よく育って、天も次元も突き破って欲しいものです。

いやいやいや。

待てよ?  なんてことだ、グレンラガンの武者飾りだ!

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・俺を誰だと思っていやがる!

こいつを出展していたのは高オタクラフト実行委員会。

富山は高岡を中心とした、伝統工芸の若手職人の集まりです。

技術をアピる手段として選んだのがグレンラガンの武者飾りだったという。

ひょっとしたらそれは言い訳で、単に作りたかっただけかもしれませんが、真実は神のみぞ知るです。

 

・一回転したらほんの少しだけ前に進む。それがドリルなんだよ!

しかしディテールに踏み込んで見ていくと、伝統工芸の高い技術を網羅的に使用した、よく考えられたプロダクトとなっているのです。

これはちょっと泣ける。

兜本体は真鍮〈しんちゅう〉の鋳造。

飾りも真鍮磨きあげです。

本来は刀飾りがある場所にはドリルがあります。

原型は木工です。

木を削ったノミの跡がわかりますか。

木工彫刻のゴツゴツしたドリルを原型にして鋳造した真鍮製です。

ワイルドでかっこいいんだこれが。 兜の額の青い飾りは螺鈿〈らでん〉です。

つまり青貝を埋め込んで磨いているってことです。

これは漆塗りの技術です。

ブースの職人さんに「これは螺鈿ですか?」と訊いたら自信ありげに「そうです!」と。

徹底した伝統技術の注ぎ込みに、思わずのけぞりましたね。

背面のシモンとカミナは彫金技術。

なんとタガネで手彫り。

このクオリティでプリントじゃねえのかよ、と。

ここに使われているのは仏具の技術です。

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・その穴は、後から続く者の道となる

鋳物の町・高岡の若い技術を見せつけてやんぜってノリで集まった高オタクラフト実行委員会ですが、このグレンラガン武者飾りに用いられたのは鋳造以外にも、木工、漆塗り、仏具などの伝統技術。

ひとつの作品を作るのに職人を横断的に結んで、地元・高岡全体の力としたところにこのプロダクトの非凡製があります。

ワンフェスは、一人親方的な趣味人、個人の作品発表の場となりがちですが、「団」を組んで力を結集し、そのチームが最も実力を発揮できる作品を選んできたわけです。

できあがったものは、ご覧のとおり、とんでもないカッチョ良さです。

僕は夢想します。

春先のデパートの五月人形売り場で、ほかの武者飾りと一緒にこのグレンガランが置かれている様子を。

そしてグランラガンを知らないおじいちゃんが、とにかくなんかカッコイイという理由で孫のためにこいつを買い求める未来を。

強く、逞しく、成長してほしい 天も、次元も、突き破ってほしい

グレンラガン五月人形に添えられたキャッチコピーが胸に迫ります。

グレンラガン武者飾りを買ってもらった男の子は、将来きっと銀河を破滅から救うくらいのことはしてくれるはずです。

 

関連リンク 伝統工芸で天元突破! http://dougu-imono.com/glk/

 

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