1.八百屋お七・勝海舟

世のあは[わ]れ春吹く風に名を残し
遅れ桜の今日散りし身は(八百屋お七)

お七が火炙りの刑で処せられる前に、遅咲き桜を手渡されて詠んだとされる歌である。

「春に吹く風に、遅咲き桜の花が散るように、浮名・悪評を残して今日死んで行く身=私は哀れではかないことだ」といったほどの意か?

処刑されるまでのいきさつは・・・お七は、八百屋の娘(養女)。

彼女は、大火に焼け出されての避難先の寺で、小姓の男と情を交わす仲になる。

そして、男を恋慕するあまり、火事になれば会えると思って放火する。

結果、放火の罪で捕らえられ、品川の鈴ヶ森で火刑に処せられる・・・その直前に詠んだのが上の歌である。

世間に悪評を残し、遅桜の散るのにたとえて死んでいく自分を「あは[わ]れ」と評価している点、目も認識も確かである・・・と評価できよう。

歌自身、なかなかなものである。

「恋は盲目」などというけれども、お七の好きな男を恋慕する心の強さ、純粋さには、ただただ脱帽するばかり。

八百屋お七(1668?~1683?)は、江戸・本郷の八百屋の娘(養女)。下総(千葉県)の生まれ。

01

これでおしまい。(勝海舟)

実に短い、簡潔で明瞭な言葉である。

ぐじゅぐじゅと長い言葉よりも、短いがゆえにカラッとしていて快い感じさえする。

これは、勝海舟の最期の言葉。

人を食ったような、いかにも江戸っ子らしい、歯切れのよい言葉であることよなあ。

江戸城無血開城などの大事を成し遂げた男の、意気というか余裕までも感じられて、忘れがたい。

勝海舟(1823~1899)は、幕末~明治の政治家。江戸の生まれ。 咸臨丸[かんりんまる]で渡米。 帰国後、海軍操練所を設立した。海軍奉行。 西郷隆盛と江戸城明け渡しの談判をし、無血開城に尽くしたことでも知られる。 自伝「氷川清和」などの著作がある。

 

2.喜遊・幸田露伴 に移動

 

One Comment

  1. Pingback: 辞世の句をつくろう!

コメントを残す