16.いつの間にか居場所が無くなる怪

・優先席に若者が…

自分は座席の前でつり革に掴まって立っている。

ドアに近い列の端、乗り降りには邪魔にならないが、そのわりには背中にゴツンゴツン衝撃があったりするポジションだ。

座席は3人掛けの短いシート、察しのいい人はもう気づいただろうが、いわゆるシルバーシート・優先席である。

下の図が自分の立ち位置である。

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そして、自分の目の前に座っているのは若者である。

しかも足を組んでいる。

靴先が少し自分のズボンに当たるごとに、地味なダメージを受ける。

靴跡とかついたらイヤだなあとは思うが、注意はできない。

仕方ないので、こちらが後ろに足をずらす。

すると、スペースができた分、また足先がついてくる。

こういうのは実に困る。

しかし、何も言わない言えない。

 

そういうわけで、自分にとってのこの若者はひじょうに印象が悪い奴となっている。

自分は中年なので「近頃の若者はなっとらん!」と言える年齢だが、この常套句は心の中で繰り返されるのみ。

のみだが、心の中は激怒である。

内心の自由だから激怒しても悪態ついてもかまわない。

 

・お婆さん登場

そうこうするうち、駅に停まり人が塊になって乗ってくる。

そして、通勤電車にそぐわないというか乗るなんて危ないだろ、と心配になるほどのお婆さんが乗り込んできた。

まあホントのことを言うと、こういう人のヨボヨボさは座席の前で発揮され、そのそばにくるまでは実に俊敏である。

過剰に心配する必要はない。

座っている人の視界に入る前と後の違いはなかなかの見応えだが、このお婆さんは自分の斜めポジションをゲットした。

下の図の通りである。

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そしてこの直後、自分のポジションが無くなってしまったのだ。

 

・解説しよう!

まず、目の前に座っていた若者は予想外にナイスな奴で、自分からお婆さんに声を掛けて、どうぞと席を譲ったのだ。

当然と言えば当然のことだが、当たり前のことをするのはなかなかに難しい。

いままでの心の罵声が恥ずかしくなる思いである。

で、若者は立つ。

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どうも人の移動が窮屈で、自然とこちらが煽りを食うカタチに…。

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あれれ?

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うう…。

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なぜか自分は押し出されて、なんか周りのジャマくさい存在になってしまった。

つり革も空きが無く、揺れるたびにすいませんすいませんと二度謝るハメに。

いい感じに見える若者とその後ろに隠れてしまう自分。

ばーかばーか若者ばーか

 

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