10.「日本人よ、これがイギリス料理だ!」
・慣れると美味しい。慣れれば…英国料理というと何を連想するでしょうか。 最初に目玉焼きとベーコンやソーセージの朝食でしょうか。 これに焼いたトマト、マッシュルーム、ブラックプディング(豚の血で作ったソーセージ)、ベイクドビーンズ、チップス(フライドポテト)なども供されることがあります。 これにバターやジャムを塗った薄焼きのトーストとコーヒーや紅茶といっしょに食べます。 こうしたBreakfast(朝食)と呼ばれる料理は、現在の英国家庭ではあまり食べられていません。
彼らは伝統的な朝食よりも、現代的なシリアルを多く食べています。 つまりコーンフレークに代表される加工された穀物に牛乳をかけて食べています。 イギリスのような寒い国は、ときおり電子レンジにかけて温めて食べたり、甘いシリアルにさらに砂糖をかけたりして食べる人たちもいます。 それではBreakfastはいつ食べられるかというと、朝晩関係なく食べることができます。 パブ(酒場)の看板にAll day breakfastと書いてあれば、いつでも頼むことができます。 しかし、それを食べている人たちは、だいたい土曜日の昼ごろが多いです。 平日はサンドイッチショップに列を作り、日曜日はサンデーローストがあるので、Breakfastを食べるには土曜日のブランチがしっくりくるのかもしれません。
・塩漬けベーコン、モソモソのプリン…さて、その味ですが、これは好みが分かれるといいたいところですが、はじめはまずく感じる人が多いはずです。 目玉焼きは日本と同様ですが、ベーコンは塩漬けにした豚肉なので、かなり塩っ辛いですし、ブラックプディングは味があまりしないモソモソした食感です。 ソーセージは日本の製品に慣れているともっと燻製の風味がしてもいいだろうと思うかもしれません。
イギリス料理がまずいのは、英国人もよくわかっていて、フランスやイタリア料理に比べれば、色も見栄えも悪いです。 それでもあまりに繊細な料理の味付けよりも、大味で極端な味付けに慣れているので、健康的でシンプルな食事を心がけている人たちは多いです。 もちろん、イギリス人だからといって自国のものだけでなく、他のヨーロッパ料理や中華、インド料理もよく食べています。 私は「彼らの味覚がおかしいのか」と最初は思っていましたが、おいしいものは誰でもわかるので、今までそういった料理を食べたことがない人たちが多いだけだとわかりました。
あるイギリス人に「英国料理とは何ですか。」と訊ねたら、「塩味のゆでた野菜だ」と言っていた人がいました。 決して手抜きではないのでしょうが、食品をおいしくする努力をしないでシンプルに食べようとするとそうなるのかもしれません。
私も長いことオックスフォードやロンドンに住んでいましたが、スーパーマーケットではさまざまな国の食品を売っているので、食べるものに困ることはありませんでした。 和食は自分でつくる必要がありましたが、シンガポールやマレーシアの寮の友人たちと楽しくつくっていました。 みんな「英国料理はまずいから食べない」と言って、菜食主義になった中華系の人もいました。
・慣れてしまえば美味いという不思議多くの外国人に嫌われる英国料理ですが、ほんとに慣れるとおいしいです。 ただし、多くの英国人がBreakfastはコレステロールが高いから健康によくないと考えているのも事実です。 自国民もそう思っているのに、日本にいて毎日そんな食事をしている人はおそらくいないでしょうが、ときどき思い出したようにBreakfastが食べたくなることがあります。 一度なれるとやみつきになる英国料理。 最近はおいしく調理されるようになったと聞きます。
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