8.沖縄の日々

・ NYから沖縄へお引っ越し

僕と妻がお店を始めて良く聞かれることがもう一つあるのだが、それは「どうして沖縄に来たの?」という質問と「どうやって今の物件を見つけたの?」という質問である。

これに対する答えは一つである。

それは「ネットで今の物件を見つけたから」ということになる。

ネットで今のお店の情報を初めて見たのは、沖縄に来る半年くらい前にNYの図書館でインターネットをしていた時のことであった。

NYでの留学にもそろそろ一区切りをつけなければならない時期になっていて、僕はなんとなくYahoo不動産をチェックしていた。

僕は曲がりなりにも「二十代、派遣社員、マイホーム4件買いました」「二十代派遣社員、マイホーム、超けんさく法」という不動産関連の本を書いた事もあり、ネットによる物件検索が得意であったのだ。

そこである日、沖縄県全域のお店を「価格」、「広さ」「立地」などをもとに検索してみた。

結果、今のお店が見つかったのだが、広さのわりに価格も他より割安で、リフォームすればよいお店になるのではと思ったのだ。

店の周りの状況などはグーグルアースでリアルに確認することが出来た。

便利な時代である。

だから沖縄に到着後、僕たちはすぐに行動に移った。

最初沖縄で一ヶ月ほどお世話になったマンスリーマンションは那覇にあったのだが、到着した次の日には中部にある現在のお店を見せにもらいに飛んできた。

当時は土地勘が全くなかったので、どう行ったら良いか全くわからない状況であったが、なんとかかんとか辿り着いた。

そしてお店を見せてもらうと、すぐに決断し、次の日にはお店を借りる契約の申請を始めた。

僕はおそらく一、二週間で手続きが済んで、リフォームを始められると考えていた。

ところがである。

僕が実際に鍵を受け取ったのは、その一ヵ月後であった。

うーん、、、ちょっとスローかな、、、。

まあそのおかげで僕たちは一ヶ月間、沖縄の色々なお店に行って、お店に必要なものがどこに売っているのかを、下調べする事が出来たので、悪くはなかったのだが。。。

 

・なんと灯油式ですよ

その後僕たちは、お店から歩いて30秒のところに、アパートを借りて、引越し作業やなんかに忙殺された。

今住んでいる賃貸物件がそれである。

駐車場も込みで、本土では考えられないほど低価格であった。

しかもお店から30秒なので、出勤と退勤の時間が合わせても一分で済む。

沖縄のアパートというのは、台風があるせいか、全て鉄筋コンクリート作りで、二階建てくらいが普通である。

本土の木造のアパートに比べると、壁も床も分厚く中はマンションと変わらない住み心地だ。

と色々な面で満足だったのだが、給湯器が灯油式なのと、二台あったエアコンの一台のコントローラーがないことくらいが気になった。

給湯器が灯油式か、、、珍しいなと僕は思った。

僕はそれまでガス式のものしか見たことがなかったのだ。

ところが実際に使ってみると、とても経済的であることが分かった。

なぜなら灯油には、基本料金というものがない。

灯油が切れそうになったら業者に連絡すると50リットルでも100リットルでも入れてくれる。

そして一回入れると、数ヶ月から半年ほども給油する必要がないのだ。

しかも燃費は実感だけれども、ガスよりもずっと良いと思う。

しかも、繰り返しになるが、ガスや電気のように使わなくても払わなければならない基本料金などはない。

僕たちはお店が自分たちの台所のようなものだから、家では料理はしないので、ガスは別途契約せず、シャワーはこの灯油式の給湯器で済んでしまった。

問題はエアコンのコントローラーであった。

不動産屋さんは、「すぐに手配しますね。」と言っていた。

ところがである。

いくら寝ても待ってもコントローラーは届かず、一台のエアコンはいつまで経っても使えなかった。

僕たちも一台は稼動しているから、まあちょっと待つかと思っていたのだが、数ヶ月しても来ないから問い合わせてみたところ、「ああ、すみません。忘れていました。すぐに手配します」との事だった。

まあ人間誰でも忘れることはある。

僕も毎日のように、色々な事を忘れる。

前回は営業時間外のお客様のご予約を忘れて、二人で近くのホテルのお風呂につかりにいってしまい、お風呂から出たばかりだったのに、非常に冷や冷やという状況に陥った。

だから僕も、「いやいやそんなに急いでいるわけではないのですけどね」などと不動産屋の担当者の方をフォローしたりする優しさを見せた。

8

・コントローラは忘却の彼方へ

しかし、しかしである。

あれから一年、、、未だうちの家の片方のエアコンは置物状態なのだ。

急いではいなかったけど、ちょっとスロー過ぎかな、、、。

まあ夏も終わるし、来年まで待ってみましょうか。。。

いやこれはたまたま僕の担当の方がそうだったんだろう。何度も言うけれど、人は忘れるものなのだ。

つい先日も妻がシャワーをしながら何か悪態をついていた。

そして僕の悪口を言いながら、寒い寒いと言っていた。。。

そう僕が灯油式給湯器の灯油の手配を忘れていたのだ。。。

灯油式も良い事尽くめではないのである。

というか、早めに給油すれば良いものを二回に一度はシャワー中に灯油が切れることに気づく。

このロシアンルーレットが命中する確立は妻と僕の二分の一である。

こんな時はもう少し大家族だったら、その確率も少しは下がるのだがなーなどと的外れな事を考えてしまう。

人間不完全だから愛らしい、不動産の契約が一ヶ月くらい遅れたって、予約していたレストランが閉まっていて15分くらい待たされるはめになった上に御風呂上りらしい人達に接客されたって(これは僕たちが加害者の例)、エアコンのコントローラーの手配に一、二年待たされたって、ある日突然冷たいシャワーを浴びる羽目になったって、気持ちひとつで怒ることも笑うことも出来るのだ。

どうせなら、笑ったほうが得ではないだろうか。

笑いは健康にも良いらしいし。

という話である。

 

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2 Comments

  1. 田名尚文

    東京ではあじわうことができない体験をしましたね。でも生きる為に本当に必要なことを学んだのかも。

  2. Pingback: 7.相槌を打たない文化圏 | WEBぱるマガジン

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