18.フィギュアをひとまとめでくくるべからず#wf2015w
・いわゆる美少女フィギュアを単にエロいものと思っていませんかワンフェスはガレージキットの祭典、ガレージキットといえば美少女フィギュア、美少女フィギュアといえばエロいフィギュア、と思い込んでいる人もいるかもしれませんが、それは違います。違う! いわゆる美少女フィギュアを単にエロいものと思っている人はきっと「見かた」をご存じないのではないでしょうか。 見慣れていないというか、解釈が一辺倒、偏見、差別的、視野が狭く独善的、横柄で他人の気持ちを汲み取ることができない、そんなイヤーな性格なのではありませんか。 イヤな自分を変えたい、大きな心を持つ優しい人になりたい。そうは思いませんか。 今日が変わるチャンスです! さあ! ほら!
・解釈できる視点をなにか一つ美少女フィギュアに対して解釈できる視点をなにか一つでも持つと、けっこう楽しめるんですよ。 ちょうど『キルラキル』もののディーラー違いテイスト違いの3つの美少女フィギュアを見てきましたので、それらを例にしてアニメ原作の美少女フィギュアについてのことを書きましょう。 ガレージキットをよく知らない人に魅力をわかってもらうこと、模型好きの人にご笑覧いただくこと、僕の趣味を妻に見逃していただくことの3つの狙いを同時に叶えられるかもしれません。
・あえて言えばアニメの絵に対して「写実的」Underdog Squad[原型]Taichi 稀代の愛されキャラクター、満艦飾マコでございます。 『キルラキル』は意図的にリミテッドアニメーションを志向した作品でした。 リミテッドアニメーションとは、秒間24コマ使用する「フルアニメ」に対して、予算や手数や製作時間の削減を狙ってコマ数を減らしたアニメーション制作方法とその作品のことを指します。 つまり、なるたけ少ないコマ数で動きを見せる手法が選択されている、らしいのですね。 マコはその点が非常にわかりやすく作られているキャラクターで、見ての通り「部品」が少ないです。 これは動画で描く線が少なくてすむデザインであり、動きに制約が少ないということでもあります。 作中では変身も瞬間移動も思うがままで、すこぶるよく動いて我々を楽しませてくれました。 このフィギュアは元気のいいポーズとディフォルメの効いた視線誘導によってマコの特徴を描写しており、それはあえて言えばアニメの絵に対して「写実的」なのです。 実際のマコもこのようにぐいぐいと動いていたじゃないですか。 ダンスで言うクレセントジャンプのような反りの効いた動きは柔軟で躍動感にあふれたマコの振る舞いを画面からそのまま抜き出したかのようです。 スカートの裾をちょいと跳ね上げ上下動の速度を視覚化してるところなどニクい演出です。
・もうフィギュアはひとつの文学one[原型]石橋たつや 上記の満艦飾マコが動画だとしたら、この鬼龍院皐月は「DVDジャケット」みたいな感じですね。 アニメには絵を動かすために線を減らした動画のほかに、キャラクターの設定や大判ポスターなどに使われる解像度の高い絵があります。 DVDのジャケットに使われたり雑誌の表紙に使われたりするやつですね。 この皐月さまらしい決めポーズに凛々しく引き締まった表情、硬質なポーズの中で金モールと刀の下げ緒を躍らせることで動きを出しているのが芸の細かい仕事じゃないですか。 極めつけは紙のように薄く作られたロングの黒髪です。 下から持ち上がりひらめく様子は戦意を明確に示したオーラの吹き上がりを感じさせます。 女性の髪の毛をフィギュアでいかに表現するのか、その技法によってなにを暗示するのか。 ここまで読み取ってしまえばもうフィギュアはひとつの文学ではありませんか。ありませんなあ。 ここまでギッチギチに固めていながら、おみ足に色気のあるくねりをもたせているのが非凡です。 これはロングブーツのセンターラインによって脚の曲線を視覚的に強調している元デザインの功でもあります。
・エッチな視線の言い訳になるスタイリッシュさMA造形 アニメには「バンク」と呼ばれる動画があります。 変身シーンなどの使い回しの効く毎回お決まりの場面はあらかじめきれいな動画を用意しておくのです。 それゆえにバンクは細部まで描き込まれて動きも流麗にできるわけです。バンクとは貯金のバンクです。 この纒琉子はバンクっぽいタッチですよね。 アウトラインがはっきりしていて塗りもフラット、表情もわかりやすいくっきり系です。 それでいてディテールは作りこまれていて、視線が引き込まれます。 いわゆる素立ちポーズに、両手の片太刀鋏とヒールアップした脚線が緊張感を生んでいます。 そして尋常ならざる露出。 かっこよさとお色気のマリアージュ、エッチな視線の言い訳になるスタイリッシュさと原作再現度。 これぞフィギュアのあるべき姿ではありませんか。ありませんなあ。
・目の前のお人形から性的な情報しか拾えてない美少女フィギュアはオタクではない人たちから気持ち悪がられるきっかけになりがちなアイテムですが、そりゃたぶん、目の前のお人形から性的な情報しか拾えてないのが理由なのではありませんかと。 見かたを身につける必要はありません。 ただ、鑑賞するための文法がいくつか存在するんだと知るだけで、キモチワルイと感じるものがこの世からひとつ減るんだから儲けものですよね。 やべー、なんかいいこと書いちゃった。 次回は力加減を間違ってるあのサークルの続報です。
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