17.今回エッセイを書いてくれた方:カブトムシ

カブト虫

・「生き物の価値」

ハッキリ言うがオレは自分のことをカッコイイと思っている。

もちろん「昆虫界の中では」という意味ではあるが、

子供達に一番人気の虫と呼ばれていることについては

内心では当然のことだと思っている。

そしてカッコイイのだから

子供達が網を持ってオレを捕まえに来ることについても

おかしなことだとは思っていない。

カッコイイ虫を捕まえて

いつでも見られるようにしたいと思うのは

実に子供らしい、自然な考え方だからだ。

 

オレが許せないのは

オレ達ひとりひとりに値段を付けて売っている人間の大人達だ。

昆虫の世界にはお金が無いから詳しいことは知らないが

値段が高いヤツほど価値が高いってことなんだろう?

どういう基準で値段を決めているのか

いっぺん聞いてみたいものだぜ、まったく。

 

どうして値段のことでこんなに怒っているのかというと

オレは一度人間の大人に捕まったことがあるからだ。

捕まったオレはどこかの店に連れていかれて

売り物にされてしまった。

するとどうだ、一番高い奴なんかは

20万とか30万っていう値段が付けられているのに

オレはたったの580エンだ!

一体アイツとオレのどこにそんな差があるっていうんだ!

言っておくが絶対ケンカしたらオレはアイツに勝てるからな!!

 

そしてオレは人間の子供に580エンで買われた後に

隙をみて逃げだして現在に至るわけなのだが、

この値段の話をしても仲間達はイマイチピンと来ていないようだった。

たぶんアイツらはもし自分が売り物にされた時に

何十万っていう値段が付くと思っているんじゃないだろうか。

だが絶対にそれはないだろう、

だってオレが580エンだったんだから

アイツらもそれくらいになるに決まっているのだ。

そんな値段を付けられれば

もっとアイツらも腹を立てられるハズなのである。

 

一時期、人間達の間では

虫同士を戦わせる「昆虫相撲」とかいうものが流行ったらしいが、

できることなら一度オレと20万エンのヤツで

その昆虫相撲をさせてほしいものだ。

なぜならもしそこでオレが20万エンのヤツを倒せば

オレの値段はもっと高くなるハズだから。

ぜひ誰かに試合をセッティングして欲しいものである。

 

鎌形のお礼コメント:

カブトムシさん、ありがとうございました。

ハッキリ言っておきますが

仮にその20万円のカブトムシに相撲で勝ったとしても

アナタの値段がハネ上がることはありません。

昆虫の値段はそういう基準では決められていませんので…

でも自己主張もしっかりされていますし

感情豊かな文章だったので内容的には良かったと思います。

また機会があればお願いします。

 

次回は「ティッシュペーパーのエッセイ」です、お楽しみに。

 

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