20.脚だタイヤだ履帯だ、やっぱタイヤだ #WF2015W
・二足歩行ロボはなぜロマンかというとさて前回のサークルNZindustrialを続けていきますよ。 二足歩行ロボはロマンですが、なぜロマンかというと兵器としての実用性が薄いからという身も蓋もない現実が迫ってまいります。 二足歩行の巨大メカだとどうしても背が高くなってしまって、砲撃のいい的となってしまうという。 現実主義で運用される軍隊ではロボ同士で取っ組み合いをするメリットもありません。 コストばかり高い困りものなのです。 だからといってロマンを諦められない我々は、なんとか理屈をつけてフィクションの中で二足歩行の戦闘メカを考えてまいりました。 せっかくメカなのにわざわざ歩いたり走ったりというのも合理性に欠けるので、脚の代わりになる移動手段をオプション的につけて、結果かっこよくなったらいいなという試みも定番です。
・壊れそうなものばかり集めてしまう脚にタイヤだ、かっこいい! この造形で僕がウヒョーと感じたのは、鳥足どころではなく完全に逆関節の脚部にしてしまい、その部分を重機のようなディテールでこしらえることで頑丈さと構造の説得力を演出してるところです。 足の裏に車輪がついてるケースはよくありますが、戦闘用ローラースケートとして割り切ったデザインに振ったのがすばらしいと思います。 ロボの脚にタイヤ、というアイディアはさして珍しいものではありません。 光GENJIの例を上げるまでもなくローラースケートは走るより速く移動できますし壊れそうなものばかり集めてしまうのが模型趣味です。 ここぞという時にローラーで短距離を突進してくるスタイルは、あるアニメ作品で効果的に描かれて以降「ローラーダッシュ」と呼ばれ一般名詞化しています。 ショッピングモールで女児にローラーダッシュを食らったことがある人も少なくないでしょう。 足にタイヤのローラーダッシュはロボ同士の格闘戦を見栄え良くする小技なのです。
・これから売り出す予定のキットを先行してお披露目そしてこのモデル、片足だけだったりグレーのサーフェイサー(模型用下地塗料)だったりするのは、製作途中の試作モデルだからです。 つまりこれは、これから売り出す予定のキットを先行してお披露目してるんですね。 ワンダーフェスティバルではこのように「予告編」を打ってくるディーラーもいます。 これは次回以降の出展物の紹介が第一の目的ですが、ワンフェスの場でお客さんの思わぬ反応や役立つ意見を生で拾うこともできるので、完成までにまだ改修を重ねることもできるわけですね。
・あのぐるぐるを履帯(りたい)と呼ぶメカの移動手段の定番と言えばキャタピラもそうですね。 戦車やブルドーザー、コンピューター付きブルドーザーのぐるぐる回る帯状のアレですが、キャタピラーは某企業の商標でもあることで、模型業界や軍事関係ではあのぐるぐるを履帯(りたい)と呼ぶのが一般的です。 このイカしたマッシィーンは戦車のようで戦車じゃない感じがします。なにかがおかしい。 あっ、タイヤだ! またタイヤです。履帯の前にどう働くかわからないタイヤが一対。 たぶんステアリングなんですがとにかくなんか速そうに見えます。 丸いのがついた部分が前に張り出してるのはブレードランナーのポリススピナーのようでもあります。SFです。 履帯があるのにタイヤ、というのはケッテンクラート(ググってください)という実物もあるので実はおかしなことではありません。 レトロなスポーツカーみたいなスタイルなのに戦車であることがたぶん違和感の正体なのです。 戦車というか自走砲、大きく張り出したシュルツェンつき、ジャーマングレーで塗装された無慈悲な殺人機械が超速そうなデザインであることがキモなのです。
・何度かの予告を経てついにキット化このマシン、前のWFで何度か展示されていましたが、このたびキットを販売しておりました。 まさに予告編だったわけです。 ちなみにこのキット、シュルツェンの薄さがハンパない。 ちょうど抜き屋(ガレージキットの原型を複製してキットにする業者)の人がブースに来ていたのですが、部品が薄すぎる、ディテールが入り込みすぎてるなどと、ディーラーさんと仲良くケンカしておりました。 http://www.kampf-riesen-mars.com/index.html
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