2.一度は被災地を訪れてほしい

・津波の恐怖

前回触れた体験ツアーとボランティアツアーは類似していることが多く、物見遊山でボランティアに行くのもいいと思っています。

なぜかといえば、観光でもボランティアでも、被災地を訪れて、食事したり、お土産を買ったりすることが復興につながるからです。

 

体験ツアーもボランティアツアーも、お金を払ってツアーに参加し、行動するのでは変わりません。

どちらも初対面の人と一緒に体を動かし、ご飯を食べ、同じ施設に泊まる。

一方、大きく異なるのが、参加者のやる気です。

作業の難易度はそれほど変わりないのに、ボランティアツアーでは「作業が疲れた」と休む人はいません。

「みなさん、よく働くなぁ」というのが大きな違いでした。

 

さらに復興のためだけではなく、私が被災地を訪れてほしいと思っているのが海の近くに住んでいる人です。

津波の被害を知るには、被災地を生で見ることが一番であり、津波の恐怖を実感することで対策を考えられるようになり、その後の行動が大きく違ってくると想像するからです。

 

東日本大震災で多くの人の命を奪った津波。映像や写真を見て、その恐ろしさを感じていましたが、やはり生で見るのと大きな違いがあります。

 

2011年6月、最初に陸前高田を訪れたときには、愕然として言葉を失いました。バスの中で涙を流していた女性もいたほどです。

穏やかな湾に流された家が浮いていた光景は、いまだに忘れられません。

 

・天国と地獄の境目

東海地震が起こるといわれていた静岡県浜松市で私は生まれ、育ちました。

小学生のときには「防災ずきん」をイスに付けていました。

いまでは南海トラフ巨大地震の津波被害が想定されています。

 

浜松では、その津波被害が想定されるエリアのアパート・マンションから引っ越した人も、少なくないと聞きました。

賃貸であれば引っ越せば済みますが、先祖代々の土地に住む人、分譲で買った人はそう簡単にはいきません。

 

津波は海岸線からだけでなく、川沿いからも陸地に侵入。

川を逆流した津波に襲われることもあります。海岸林によって家が流されずに済んだところも、たくさん目にしました。

 

津波の被害の境目も見ました。

建物が流されて基礎しか残っていないところがある一方、被害がなく日常生活を送っている家もあるという、天国と地獄の境目も見ました。

震災直後には、そういう非被災者の家に、石が投げ込まれたこともあったと聞きました。

 

私が訪れた被災地には、近所でありながら、被災者と非被災者と分かれるというエリアがありました。

家族を失った人、家や職場を失った人がいる一方、何も変わらない人もいる……。

それが津波をはじめ雷、竜巻など自然災害の現実であり、こうした事実を知っておくことも震災対策の1つになると感じています。

 

陸前高田2_R
陸前高田のボランティアツアー2日目は雨が降り、この湾で長靴などを洗い、帰りの準備へ。いつもは穏やかな湾なのに、津波の牙をむいた。

 

3.ボランティアツアーはバス利用が大半 に移動

 

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