15.ゴルフ以外のセント・アンドリュース
セント・アンドリュースはゴルフ発祥の地として有名ですが、他にもケンブリッジ大学やオックスフォード大学に次ぐ有名なセント・アンドリュース大学があります。
神学や古代史などの研究が盛んですが、現在は経済や経営、コンピュータや科学など現代的な学問も盛んで、スコットランドからの発明に対して力を注いでいます。
また、英国王子と王妃が通っていたところとして有名です。 大学の近くにはふたりがよく過ごしたカフェがあるそうです。 大学近辺を散策していると”School of Classics”というのがありました。 音楽の学部があるのかと思ったので、たまたま通りかかった若い女性たちがいたので、ここの学生か訊ねて何学部か聞いてみると、古代ギリシャとローマについての研究だということです。 ヨーロッパの社会を考察するには欠かせない学問のひとつで、現代社会とのつながりを研究すると楽しいでしょう。 イギリスにいたときからここの大学は知っていましたが、実際に訪ねてみると、街が大学を中心に広がっているようでした。 実際は教会を中心に街ができるのでしょうが、現在は廃墟になっているカテドラルは街の中心からは外れています。 晴れている昼間でしたら何でもありませんが、暗い雨の日はちょっと気味が悪いかもしれません。 また、海の近くで、広大な浜辺があります。 地中海沿いのビーチリゾートだったら毎年たくさんの人が訪れそうですが、夏は暑くても25℃くらいにしかならないそうで、この日はたまたまそうした日に恵まれたときでした。 北海の水が冷たいせいか、ウェットスーツを着た親子が遊んでいましたが、日光浴を楽しんでいる人たちはいませんでした。 スコットランドの若い女性の多くは青白い肌の人たちで、炎天下には不慣れで不快になるでしょうから、浜辺に来ても水と戯れることはしないようです。 それから、ゴルフ博物館近くの岩場には海苔が岩にこびりついて香りを発していますが、地元では食べることがなく、アパートのご主人に「日本人はこれを食べるんですよ」というと「それじゃ持って帰ってください」という英国的なジョークを言われました。 セント・アンドリュースは、ゴルフ以外の観光でも十分楽しむことができます。 エディンバラから長距離バスもあるので、街中に宿泊できるならばそのほうが便利です。 また、大都市ほどではないですが、近郊を走るバスもありますし、教会の前にはいつもタクシーが停っていますから、気軽に利用できます。 借りていたアパートは農業地帯の中にありました。 小麦の生産をしていて、ちょうど収穫期のときでした。夕方にアパートに面した道の奥に何があるのか探りに行きました。 轍はできていましたが、クルマやトラクターが入ってくることはありませんでした。 その奥には、かつては羊や牛がいたかもしれませんが、誰もいない草原が広がっているだけでした。 天気が良ければヒバリが鳴いていましたし、曇っているとカラスが鳴いていました。 小さなミツバチが小さな花に止まって蜜や花粉を集めていましたが、そこは東京では味わうことができない静寂の世界でした。
何百年経っても変わらない風景が英国にはありますが、それは首都圏では見ることができません。 こうした田舎に来るとなぜか郷愁にかられます。 誰もいない広い草原の中にいて、ひとりで感じ、その時間を楽しむとても良い機会でした。
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