17.涙活と紙芝居

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・紙芝居

先に震災遺児孤児へのエールを送る拙著「ソバニイルヨ」の話を書いた。

挿絵を描いて頂いた亀岡高幸さんの原画の紙芝居がある。ストーリーは勿論「お母さんからの贈りもの」だ。

何べんか演じた。

津波被災地現地、被災地案内バス車中、講演会場、涙活会場・・・。

しかしどうも私にはうまくいかない。

そもそも素人、照れ屋、自作・・・などが原因か。

 

何人かの方より、紙芝居をやらせてほしいの申し出があった。

長野市Mさん、厚木市三橋さん、いわき市Hさん、その他数名。

その中の、みつはしあゆみ さんはことのほか真剣に取り組んでくれた。

彼女は東日本大震災・東京電力第一原発事故後、岩手、宮城、福島の被災地を単独でしかも頻繁に訪れ、仮設住宅などでマッサージなど被災者の身体と心のケアに尽力している。

もう5年ほど福島や岩手に通ってくれているが、詩の読み聞かせなどと併せ「お母さんからの贈りもの」紙芝居を演じるようになった。

 

最近ではギターの川崎円さんとの競演で、ギターと語りのディオ「あみつぶら」として活動している。

そのライブたるや圧巻である。

紙芝居を演じる語りとギター伴奏によるケセラが、絶妙な切迫感で言葉を失わせてしまう。

原作の脆弱さを二人の技量が凌駕してくれている。ありがたいことだ。

登場人物もさぞ喜んでいることであろう。

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・「(るい)(かつ)」のすすめ

その紙芝居を時折私が演じる場所は「涙活」(るいかつ)だ。

では、「涙活」とは何ぞや。

涙を流すと、すっきりするということを感じたことがあるかもしれない。

その通り、涙は副交感神経を活発にし、ストレスを緩和するという医学的な証明もされている。

しかしただの涙、痛い時流す涙ではだめで、感動した時、心が揺さぶられた時の涙、情動の涙なのだ。

 

ただなかなか泣けないし、特に男は人前では泣くな、と昔から言われてきたから泣くことは出来なくなっている。ひたすら泣かず、じっとこらえて生きて行くことが多く、その分ストレスがたまっている人もたくさんいる。

とりわけ東日本大震災・原発事故のようなとんでもない大惨事に直面した人々や男性、大人は人前や家族子供の前では泣けず、我慢に我慢を重ねてきた人たちが大変多く存在する。

つらい時、悲しい時、やりきれない時、嬉しい時、感動した時に思いっきり泣ければ、自死や孤独死などからも避けれたのではないかいと感じる。

 

思いっきり泣いていいんだ。

泣くことは恥ずかしいことでないんだ。

涙を流すことは大事なことなんだと呼び掛け、積極的に涙を流そうと活動しているのが「涙活」である。

被災地ほど涙活が必要だ、の思いで震災後からいわきでも開催している。

首都圏で始まったが、地方で開催し積極的に継続しているのはここいわきだけであろうと自負している。

 

今年で5年目、これまで6回ほど開催してきたが昨年は直木賞作家志茂田景樹先生をスペシャルゲストにお招きし、先生作の絵本の読み語りを演じて頂いた。

その「ぞうのこどもがみたゆめ」は圧巻であり、まさしく独り芝居の体であった。

語られるその優しさ、まなざし、迫力はすさまじい。

感動の涙が流れた。

涙活そのもののライブとなった。

今年も311めがけ、被災地で演じたいと訪れて頂けた。

ありがたいことだ。

もう一つのスペシャルゲストとして、みつはしあゆみさんと川崎円さんのディオ「あみつぶら」も出演し紙芝居ライブを演じた。

感動の拍手と涙がとまらなかった。

 

被災地の皆さん、全国の皆さん、悲しい時、辛い時は泣きましょう。

うれしい時、感動したときは泣きましょう。

泣くことは、涙を流すことは人間だけに与えられた素晴らしい心の表現です。

思いっきり涙を流し、心をすっきりさせ、強く生きていきましょう!

(2017.3.月筆)

 

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