25. 3Dプリンタから出てきた女の子
・最新技術はプライベーターの味方3Dプリンターの進化と普及はモノ作りのプライベーターに大きな変化をもたらしました。 今回はそういう前提で行きます。 まっつくさんの女子高生フィギュアは、方向性も明確なフォトリアル志向です。 このサークルの特徴は原型を3Dプリンターで出力してるということ。 3Dプリンターの恩恵は、このフォトリアルさだけではありません。 ほら。 うすーいブラウスが別パーツなのです。 これ、手作業で粘土をこねる方法では、まず不可能なことだったんですよー。ちなみに通学向きのママチャリも3Dプリンター原型。 スポークの細さやカゴの緻密さを見てくれよな。 ・PCの画面の中で粘土をこねるガレージキット、とくにメカ系じゃなくて生身の人間に近いフィギュアの場合、これまでは粘度をこねて原型を作るのがセオリーでした。 そこに出てきたのが3Dプリンターですわ。 PC上で三次元モデルを設計するためのモデリングソフトウェアは大きく分けて二種類あります。 ブロックや積み木のように円柱や三角錐を組み合わせるCADタイプ。 粘土をこねるように3Dデータを扱えるタイプ。 この粘土をこねるタイプの3Dモデリングが、フィギュア原型師のやり方にぴったりだったらしいのです。 映画やCGの世界では、太古の恐竜やグチョグチョな宇宙生物や賢い猿のリアルなコンピュータグラフィクスは当たり前にありますので人間のモデリングが不得手なわけがありません。
・表現したいことを実現できる技術の登場例の「薄いブラウスが別パーツ」な話なんですが。 これデジタル塑像のメリットの最たるものでして。 ソフト上で「パーツをちょっと太くする」機能があるんですわ。 まず人間をモデリングしますわな。 で、「パーツをちょっと太くする」ボタンを押しますわな。 布一枚ぶん太くするわけです。 最後にシワをちょいと盛り上げればブラウスパーツのデータが完成しちゃうって話なんですよ。 そういう時代なんですって。 見てくださいよ、薄い薄いカミソリエッジだから成立する襟元の開き方のナチュラリティ。 原型師が表現したいことを実現できる技術がようやく登場した、みたいな喜びが感じられます。 デジタルで原型を作るメリットは多くありまして。 縮尺も自在だっていうことなんすよ。 上の写真は同じモデルのサイズ違い。 一般的なフィギュアのサイズ1/12とコレクタブルな1/20サイズ。 データを一回完成させれば、出力サイズを変えるだけでいろんな展開ができるわけです。 なにしろPCの中でいじっている3Dモデルは物理的なサイズの制約がないので、ものすごく細かいところまで造型できるんですね。 だからフォトリアルなフィギュアを作ることができる。 手間の問題でデフォルメしたくなるところをグッと我慢して、リアルさにこだわり続けることができるんです。 で、出力するときにサイズを変えればどんな大きさにもできるんですな。 極論を言えば10倍縮尺の巨人サイズも作成可能です。 うーん、どうでしょう。 サイズ展開が自在ってことは、数を売ることができる。 それは活動を維持しやすくなるということにつながります。
・物理的制約から開放されたのでデジタル原型の利点はまだあります。 パーツの部分入れ替えも簡単なんすね。 この場合、2種類の顔パーツを選ぶことができる仕様。 はじめのデータをコピーして、顔パーツのデータを別ファイルでどんどん増やせる。 アナログでもできることですけど、ボディパーツを物理的に複製して……みたいなことを考えると、デジタルデータの強みが出ております。 あと、このキットはもうひとつペロッといくギミックがありますが、それはイベント会場で実物をご覧ください。 いまは一流のプラモデルメーカーも飛行機や戦車の模型に付随するパイロットなどのフィギュアを3Dスキャンしたものにし始めています。 衣装を着たモデルさんを3Dスキャンして、データを調整して作ってるんですね。 小さいスケールでも顔立ちや衣服のディテールがはっきりと出て、すごくリアルなんすよ。 ディテール出てるってことは塗装もしやすいってことです。 デジタル化が進む模型ジャンルの中で、プライベーターとしていち早く3Dプリント原型を手がけ、デジタルのメリットをどんどん有効活用しているサークルMK2(まっつく)さんの紹介でした。 MK2
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