2.今回エッセイを書いてくれた方:しょうゆ

しょうゆ

・「期待の新人」

先日、我々調味料ボックスの所に新人がやってきた。

彼の名はチャツネ、

なんでも先日インドからやってきたばかりの

外国の調味料だというのだ。

久々の新入りだったこともあり

我々先輩調味料達はざわめいていた。

 

集団には必ずルールというものがあるため

まずはチャツネに我々のルールを教える必要があった。

最初に教えるのは我々の配置についてだ、

よく使われる調味料は手前にいる必要があるため

自慢では無いが私はいつも最前列をキープしている。

そして原則として新人は

最後尾からキャリアをスタートさせていくものなのだが

そこは新人らしい可愛いミスと言えるだろう、

何も知らないチャツネは初日からいきなり私の隣に座ってきたのである。

それを見ていつも最前列をキープしていたのに

席を取られてしまった塩は多少しょっぱい顔をしていたが

そこは新人だからと優しくチャツネに注意をしていたようだ。

 

新人に対する先輩の対応の仕方は大きく2種類に分かれる、

初めは優しくする人と初めから厳しくする人だ。

私は前者であり、基本的に怒るのは好きではないのだが

お酢なんかは最初からチャツネに厳しかった。

チャツネが何かをやらかす度に

お酢は口を酸っぱくして彼を注意していたのだ、

まぁあれくらいは仕方ないといえば仕方ないだろう。

 

チャツネは使われる頻度こそ非常に少ないが

使われた時に食卓に与えるインパクトは凄かった。

彼が登場すると一気に食卓が

南アジアのムードに包まれてしまうのだ。

お酢はそのことについても

「あんまり出しゃばるんじゃないよ」と怒っていたが

それは彼に言ってもどうしようもないことではないだろうか。

 

同じ海外出身であるサルサやチリソースなどは

彼に優しく、まるで弟ができたかのように可愛がっていた。

やはり人は同じ境遇の人間に出会うと

嬉しくなってしまうものなのだろう。

色々あると思うが、チャツネには頑張ってほしいものである。

 

そんな風に思っていた矢先のある日、

私の身にちょっとした事件が起きてしまう。

恥ずかしながら発表してしまうが私はかなりのアイドル好きだ、

それは私があるマイナーなアイドルの

ライブを観に行った時のことだった。

早く始まらないかなと私が開演を心待ちにしていると

真横に見たことのあるような顔の濃い青年が1人、

よく見るとそれはチャツネだったのである。

私に気付くなりチャツネは

「アナタモ好キデスネ~」

「ダレ推シナンデスカ~」と

やたらとコミュニケーションを図ってきた。

名前通りのしょうゆ顔の私と

とんでもないソース顔のチャツネの組み合わせに

周りのオタク達も「どんな仲なんだ?」と

不思議に思っていたに違いないだろう。

 

そしてそれからというもの、チャツネは私に対して

仕事場でもやたらと馴れ馴れしい態度を取ってくるのだった。

一応この職場のエースと言われてるんだけどなぁ…

できれば主人には早くチャツネをリストラしてほしいものである。

 

鎌形のお礼コメント:

しょうゆさん、ありがとうございました。

「しょっぱい顔」とか「口を酸っぱく」とか上手いことをたくさん書いていますね。

多少イラっとしましたけどまた宜しくお願いしますね。

 

3.今回エッセイを書いてくれた方:普通自動車 に移動

 

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