7.犯罪から守られた都市
・BGCという新興都市今回私が滞在したところは、BGC (Bonifacio Global City)という以前米軍基地があった、広大な土地を利用した新興都市です。 マニラにはマカティという金融ビジネス街がありますが、オフィスが徐々にBGCに増えてきています。 現在も建設中のビルがいくつもあり、日本の80年台前半のような勢いです。 これに便乗するかのように進出してくる日系企業も多いですが、イギリス人やスイス人のビジネスマンと会合を行ったところ、かなり注意したほうがいいと言われました。 これは別にフィリピンだけに限ったことではありませんが、国の法律や文化、業務形態、地方での業務の進め方などがおのおの異なり、いまだに不正・不当な金銭が動くことが多いそうです。
私もマレーシアの空港でフィリピン人の出国者が、出国手続きのさいに札をパスポートに挟んで渡しているところを目撃したことがあります。その管理官も平然とその紙幣を隠して受け取りました。 こんな末端な部分でそうした違法行為が繰り返されているわけですから、大金を移動させる企業間でのトラブルは避けられないでしょう。 どこの国でもその国に良い方向にしか転ばないでしょうから、そうした何かトラブルが合った場合はあまり勝ち目がありません。
・銃を携帯するボディガード付きところで、マニラのこうした整備された(している)都市と一般の街の印象は、現地人でも驚くほど異なるようです。 私が独りでタクシーに乗ってBGCのコンドミニアムに夜帰るとき、その運転手が「ここなら夜でも歩いていられますね。」と私に話しました。 私の現地スタッフもバス通勤したときに強盗に銃を頭につきつけられたと言っていました。 それがトラウマになり、しばらくタクシーに通勤をしていたほどです。 また、私のいたコンドミニアムの住民は外に出るために警備員をボディガードとして雇って警護されて外出している人たちが多くいました。 これはマニラでは極あたり前のことだそうです。 巨大なショッピングモールに行ったときも、大柄な人たちが駐車場でたむらしていたので、何かあったのかスタッフに訊ねたら、「彼らはボディガードで銃を携帯しているので、中に入れないからです。」と言っていました。 こうした犯罪から守られた都市の私の印象は、単にニューヨークの街を再現したような町並みに欧米や日本企業が集まっているだけの空虚な場所でした。 それに色をつけることで生きていけるかもしれません。 「家族とここに住み続けたいか?」と考えた場合、近くにきれいな浜辺がある場所のほうがいいでしょうね。
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