15.震災遺児孤児へのエール
・呆然自失震災から1年目の平成24年3月11日、新聞・TVは1年前のあの出来事とその後の状況について報じていた。
あの当時を想い返り、誰しもがその悲惨さ、無念さ、悔しさに涙した。 私もあれから1年が経とうとしているのに、今だ呆然自失の中におり、何をするでもなく、何も手につかぬままに、ただ毎日を過ごしていた。 何をするというよりか、何も考えられず、何をする気にもなれず、ただただあの日から今日までを想い、無力と無気力と無機質な心模様であったのだと思う。 某TV番組で、東日本大震災・福島第一原発事故による東北の遺児孤児は2千人とも3千人とも伝えていたが、その数の多さに驚いた。
そして、仮設住宅での幼児の姿や、祖父母へ引き取られた小学生らしき児童の、一人ぼっちの後ろ姿などが映し出された
涙が込み上げ、拭っても拭っても溢れるように流れてきた。 こんなに小さな子が両親や父親母親を失くして、これから先どのように生きて行くのだろうか、くじけずに、困難にどう立ち向かっていくのだろうか、素直に成長できるのだろうか、頼れる人はいるのだろうか…様々なことが脳裏をよぎった。 そしてまた、涙が滝のように流れてきた。
眠れぬ夜を迎え、様々なことを想った。 自分はもう60歳を超え、人生の折り返しに立っているにもかかわらず、何と情けない1年を過ごしているのだろう。 それに引き替え、親を失くした子供たちのこれから先の人生はいかに過酷であるか、想像に難くないではないか。 自分だけがその悲運、悲惨さを嘆いているのではないか、と気づいた。 そしてこの遺児孤児たちを励ましたい、何とか希望を持って生きて行けるように激励したい、という心がムクムクと湧き上がってきた。 ・震災小説執筆 「ソバニイルヨ」出版!励ますと言っても、名前も面識もない不特定の子供たちだ。 気が付いたのは、物語を書き上げ、その活字から生きる勇気を湧き上げて欲しい、というものだった。
震災で母親を亡くした少年の物語。 幼い妹、弟を守り、涙をこらえて健気に毎日を生きる少年が、ある出来事を契機に強く生きて行く決意をする物語だ。
1週間ほどで書き上げた。 主人公の名前は、青空 海(アオゾラ カイ)、小学2年生。 妹は、桃(モモ)。弟は、陸(リク)。
~津波で行方不明になったお母さんを待ち続け、懸命に涙をこらえて妹と弟の面倒をみる。 外国の島に流れ着いた箱の中から、海の描いたお母さんの似顔絵などが出てくる。 その時震災以来初めて号泣した。 しかしお母さんは実はそばにいて見守ってくれているんだ、と感じる物語である。~ 震災物語「ソバニイルヨ」より。 原稿を目にした厚木市の朗読家 みつはしあゆみさんの目にとまり、朗読会を開くことになる。 同時に物語を自費出版する進言もあり、朗読会に合わせて出版した。 いわき市内主要書店、ヤフオクにて販売され、電子書籍「コンテン堂」「アマゾン」でも購読できる。 紙芝居も作成し、「被災地ガイド」「被災地講演会」「涙活」などで活用し、風化させない役割もさせて頂いている。
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