ダッハウ強制収容所ツアー その2
〔労働はあなたに自由をもたらす〕ビジターセンターから奥に入っていくと左手にはかつて鉄道のプラットフォームがあったであろう場所がありました。 そして右手には強制収容所の入り口にあたる建物がありました。
屋根は赤い瓦で四角い監視塔が中央にあり、入り口の鉄門には“ARBEIT MACHT FREI”と書かれています。 意味は「労働はあなたに自由をもたらす」とでも言うのでしょうか。 ぜんぜん笑えない冗談でむしろ怒りがわき上がります。
ガイドによるとこの鉄門はレプリカで数年前に盗まれて、現在は本物が戻ってきたそうですが、それは展示室にあるそうです。
このツアーは実際にここに連れてこられた人々と同じ行程を再現するようにできているようで、ここから中に入り登録所に行きました。
ここでは囚人服にその種類別にワッペンが付けられて、どこの棟に入れられるかを決めていたそうで、囚人たちはその登録のためにかなりの時間を待たされていたようです。
展示室には労働作業で使用されていた木製の手押し車や囚人を鞭打つための木製の台、囚人を後ろ手に縛り吊し上げて犬をけしかける拷問の絵、アウシュビッツなどの他の強制収容所の位置を記した地図などが展示されていました。
そこから、今度は独居棟に行きました。 ガイドによるとここに連れてこられた囚人は、処刑される前に大概発狂するか自殺したと言っていました。 ここでもナチスによる拷問の絵や独房の様子を描いた図が展示されていました。
独居棟は細長く、廊下を中央に左右に部屋が続く建物であるところまで行くと鉄格子がありその先に行けなくなっていました。 独房は左右にあるのですが、一番奥は暗く日光が届かない場所でとても不気味なところでした。
次に囚人たちが暮らしていた棟に行きました。 中には木製の三段ベッド、便座がない茶色の洋便器が並んだ仕切りのないトイレ、水がたまる大きな共同洗面器、食事を取るコモンルームがありました。 当時の衛生状態は酷いものだったことがうかがえます。
このタイプの棟は当時いくつもあったようで、その跡に番号がふってありました。 その横には高い並木が沿うようにあり、その先にはユダヤ教会、キリスト教会、ロシア正教会があり、犠牲者の魂を鎮めているようでした。
ガイドによると、これらすべての建物は、ナチスの建物とは正反対のデザインで作られていると言っていました。 確かにナチスはドイツのヨーロッパ的なデザインの建物ですが、各教会はポスト・モダニズムなデザインでした。
最後にガス室の棟と死体焼却棟に行きました。 多くの犠牲者を出したダッハウ強制収容所ですが、アウシュビッツのようにこれらの設備を実際に使用したという記録はないということも言われています。 ガイドはそのことには触れないで、各部屋の説明をしていました。
最後は自由になった名も無き生存者の像を見て、裏手にある多くの人たちによる平和と鎮魂の庭を見学してミュンヘンに帰りました。
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