12.ぴゅぴゅぴゅぴゅうるう

・小汚いおっさんというべきか、歯笛のおっさんと呼ぶべきか

毎日、同じ時間に、同じ駅のホームで出勤していると、常連のようなメンツができたりする。

電車を待つ間、今日もこの人はスポーツ新聞を見ているとか、この人いつも同じ服だとか、ぼんやりしながら出欠確認のようなことをしてしまう。

たいていは出勤メンバーなのでスーツも多く、ことさら目立つような人はいないが、歯笛のおっさんだけは忘れられない。

 

歯笛とは、口笛の一種で上下の歯のスキマとクチビル、舌を使って音を出すものらしく、その歯笛のおっさん、名人級に上手いのだ。

ただの口笛と違って、歯笛はなかなか難しい。

自分はできない。

音が出るだけでもスゴイのに、ピーヒャラ自在に音程をつけるのだから、公共の場で披露したくなる気持ちは十分わかる。

口笛のようにカン高くないので、控えめに吹いている分には耳障りな感じはしない。

ただ見た目はひじょうにアレでして、歯笛が上手い以外は小汚いおっさんとしか見えてこない。

積極的には密着はしたくないタイプである。

 

ところがどうしたことか、この歯笛のおっさんとは同じホームに並ぶことが多かった。

時間が多少前後しても一緒になることがあり、よほどの相性なのだろう。

どうせ都はるみや石川さゆり辺りの演歌でも吹いているのだろうと思っていたが、意外にテンポが速い。

あーなんか聞いたことあるかも、と気づいたのは会社に着く頃でこれ。

King Crimson/RED


キングクリムゾンっすか。。。

まあ勝手なんですけど、小汚い感じとのマッチングがどうも異次元でして。

しかし、おっさんのクチからRedが出るとは思わず、一人勝手におっさんの若い頃やロックに夢中になっている様子を想像してみたりする。

そう思っていると俄然興味が沸き、朝の通勤はおっさんとの出会いを楽しみにしたりする。

するが、こうなると意地悪なことに遭遇確率が下がってしまうのだ。

なかなかカンタンには会えず、会えても歯笛を自粛していたりで、こちらの思惑通りにはいかない。

habue

・プログレのおっさんでした

それでも、ある日ついに見かけた。当然、真後ろに並びましたよ。 しかも、新たなフレーズ。

Pink Floyd/Money

ピンクフロイド???プログレ全開っすね。

けど、そっち方面はあんま詳しくないんで、超メジャー曲しか知らない。

実際、その後も2,3のパターンがあったが、ついにわからずじまい。

ぴゅっぴゅぴゅっぴゅぴゅううう

とか、

ぴゅぴゅぴゅぴゅうるう

みたいなフレーズ。

今となってはおっさんのみそ汁ってやつですな。

 

ちなみに、「プログレ」とかその辺のことがわからない方はアンサイクロペディアをどうぞ。ウィキペディアではイマイチなんで。

 

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