13.何も学ばない国
・再稼働の動き前回でも書いたが、あの福島第一原発事故から5年が経った。 川内、高浜、伊方、・・・と再稼働が始まろうとしている。 我々福島県民、被災者からすれば、電力会社、国、原子力規制委員会、立地自治体、県知事、政治家などは一体何を考えているのだろうか、と思わざるを得ない。
なぜなら、あの福島第一原発事故によりいまだに多くの人々が故郷を追われ、家族が離散し、自殺者も出て、家庭も崩壊しているのだから。
いまだに溶け落ちた燃料棒の現状も把握できず、廃炉作業は遅々として進まず、世界中を探してもその技術は誰も持たず、核燃料廃棄物の最終処分場も出来ていない。
それなのに、何事もなかったかのように原発再稼働へと進んでいく。 一旦同様の事故が起きたら、この日本は取り返しのつかない状況になることは誰しもが思っているのに。 国民は、逃げ場をなくし、住む場所を失うだろう。 飲む水もないだろう。食べるものもなくなるだろう。 否、食べることは出来ても内部被ばくという恐ろしい状況になってしまう。 あの福島第一原発事故の悲惨さを、誰もが忘れてしまったのであろうか。
それでも「経済」「お金」という魔術に目がくらんでしまっている。 世界一安全と説明しているが、世界の誰が言っているのであろうか。 何が世界一なのであろうか。 言葉だけの、実態のない、無責任な国策である。 ・政治家等の姿が見えない川内原発再稼働を報じたTVインタビューに市民が「これで地域の活性化がすすむ」と答えていた。 単純に、純粋に、そう思い込み、願っているのであろうか。 その市民に是非原発立地町の商店街の現状を見に来て欲しい、と心から思った。 富岡町の中央商店街に立つと、店が立ち並ぶ通りは、人っ子一人いない無人の町だ。 ガラスが粉々に割れ、商品は放置され、動物のフンが散乱していた。 住んでいた者全員が町から逃げ出し、誰も帰って来れない町の姿がある。 地域の活性化どころか、地域が消滅してしまったのだ。これが原発の町の現状である。 インタビューに応じていた方に、是非見に来て欲しい。 再稼働を進める自治体、首長、県知事、地方議員、国会議員、その他多くの推進者は是非原発被災地の現地に足を運び、その地に立ち、率直に見て欲しい。
そして帰ってから必ず感想や報告をして欲しい。 住民もそれを求めること。何を見、何を感じてきたのかを。
被災地にいると、国会議員や地方議員、政治家等の姿はほとんど見ない。 我々一般人にはそれが分からないだけかもしれないが、ある仮設商店の方も「議員の姿はほとんど見たことがない」と語っていた。 国会議員全員へ原発被災地へ足を運んだことの有無をアンケートしたい、と思った。 この一大事故現場を視察もしていない国会議員がどれほどいるか、見ものである。
首相も駆け足で来て、駆け足で帰る。 都合の良い所だけを見て、都合の良い話だけ聞いて、おにぎりをほおばって帰る。 一体何分ほど滞在しているのか。 アリバイづくりと思われる視察でなく、地に足をつけてみて欲しい。 そしてそれほど安全な地であるならば、第一原発近くの町村に宿泊し、実務を執り、閣議を開き、環境省なども移転し、真の復興の感触を確信すれば良いと思う。
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