19.帰還コール

・復興、ふっこう、フッコウ、hukkou・・・

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今(2017.2月)の福島県は、復興・復興・復興・復興・・・のオンパレードだ。猫も杓子も復興・復興・復興・復興・・・。まるで他の言葉を知らないようだ。

勿論復興が悪いわけではない。むしろ大いに進めて欲しいと願っている。然し真の意味での復興と現状叫ばれている復興は意味合いが違っている。

 

「復興」と並び称されるほど使われている他の言葉は「風化」「風評被害」「故郷をなくすな」だ。

この「復興」「風化」「風評被害」「ふるさと」・・・4点がキーワードであり、国も、県も、自治体も誰でも彼でもが発する単語だ。誰かが言っていた「復興、風化、風評、ふるさと、云ってれば誰でも勤まるね !? 」と。

「4のふ」だけがまかり通るふくしま県。

 

復興の問題は、何のための復興か、誰のための復興か、どんな復興か、真の復興か、が問われている。

復興という言葉を使えば、誰もが異議は唱えない。反対する者などいるはずなない。だから味噌もくそも一緒にして復興、復興、復興のため、と叫んでいる。

復興のためにと称してリフォームさせ、お年寄りを帰町させ、商業を再開させ、農業を始めさせ、漁業も準備させ、子供たちを動員して道路のゴミ拾いをさせ、ありとあらゆる動員とありとあらゆる補助金を付け、ヒト、モノ、カネで帰町の盛り上げを図っている。

 

メディアの報道も、帰町した人、帰町して再開する人、新店舗、新事業・・・とにかく戻って、何かを始める人の紹介記事ばかりだ。辛く悲しい避難生活や、家族離散、放射線の恐怖、安全の危惧、葛藤に苦しむ姿など原発事故の現実の姿などどこかへ消し去ってしまっている。とにかく町へ戻って、元気で、文句も言わず、黙って働く人々を中心に取り上げられている。

 

・五輪も原発事故のごまかしに利用・・・

「風評被害」も必ず出てくる。内堀福島県知事などはあの無表情で、感情など持っていないのかのような無機質な顔で必ず述べる。「風評被害を乗り越える」と。

 

風評被害もあるだろうが、実際には実情被害は起きているのだ。県民が故郷を追われ、家を捨て、家族離散にされ、甲状腺がんにおかされ、今も放射線が放出され、生態系が破壊され、海山川空間が汚染され、核燃料の現状すら把握できず、廃炉の技術もなく、核燃料の保管場所もない現実被害を直視せず、その対策を怠り、放置し、目を背けさせるための「風評被害」の連発だ。風評被害を言うなら、では原発事故はなかったのか。原発事故は解決したのか。何でもかんでも「風評被害」で片づけることこそ、如何なものだろうか。

 

本気で向き合い、本気で人類を破滅する原子力発電廃止の先頭に立てよ。

それが原発災害の立地県の務めではないだろうか。

風化も同様。知事は、必ず風化を言う。安心安全ばかり述べてるのだから、もう終わったのだというメッセージとなり、風化するのは当たり前だ。言ってることが支離滅裂、整合性はない。

 

原発事故などなかったことにしたい、原発事故あってもこんなに復興するんだ、原発事故など大したことはない、原発事故は克服できるんだと望む人々、諸階層、産業界、原子力ムラ、各種業界、政治勢力、追随勢力などの、云ってみれば我が国を支配している勢力の願いどおりのシナリオで事が運ばれているのだろう。その目的のためには、ありとあらゆる手を用い、ありとあらゆる利用できるものを利用するのだろう。

 

東京五輪も、悲しいかな政治利用、原発事故抹消の道具にされようとしている。誰もがスポーツは好きだし、日の丸を応援したくなる。その気持ちをうまく利用し、原発被災地で叫ばれているのは「復興した姿を世界中の人に見てもらおう!」「元気で頑張っている姿を見てもらおう」だ。文字通り復興してれば良いが、表面的な、負を隠した、ウソの復興、まやかしの姿を見せようとしている。

 

避難解除をして、賠償を打ち切り、住宅補償を取りやめ、避難地区をないことにして、避難者はいないことにする大作戦がこの国が進めている一大作戦なのだ。そして原発を外国に売りつけ死の商人的輸出となる。

我々被災者は、ここでもまた政治利用の道具にされ、使い捨てられるのであろう。

何という民主主義国、日本の姿。ニッポン、チャチャチャ!(170303筆)

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