24.希望の牧場
・原発被災地訪問 各地より・・・2年前(2015.11.19)原発被災地を案内した東京清瀬市の皆さんが今年も福島を訪れてくれた。 皆さん多少高齢ではあるがとても勉強熱心で、食い入るように目を凝らし、本質を突いた質問をしてきた。 私も明確に答えられないこともあるが、それはそれでいかにも一生懸命さが伝わり嬉しく思った。 富岡町の無人の商店街、真っ黒なフレコンバックの山、夜の森公園のバリケードなどの風景を目の当たりにして皆さん息を呑んだ。 それはそうであろう。 この世の中にこの世とも思えない光景が拡がっているのだから・・・。 昨日まで人々が暮していたそのままに、ひっそりと、人もなく、息もなく、その日の冷たい雨のように凍って見える街並みだった。 原発事故の悲惨さ、過酷さを伝えるのに言葉は通じない。 ましてや私のような者はそれを正しく伝える知識も、見識も、能力も有していない。 現地に立ち、空気や風を感じ、見てもらうことが一番なのだ。 だから、正しく知ってもらうのには足を運んでもらうことが重要であり、清瀬の皆さんの訪問は大変嬉しいことだった。 そのような心ある方々が全国から沢山来ていただいている。 もっともここ1,2年ほどはめっきり減ってはきているが・・・。 今回来ていただいた方々は異口同音に私の病を案じ、平穏を伝えると万雷の拍手で喜んでくれた。 ありがたいものである。 そして今回は「希望の牧場」へ向かう、というので同行させてもらった。 ・被ばく牛300頭守る「希望の牧場」・・・浪江町「希望の牧場」は国からの牛殺処分命令に抵抗し、被ばく牛は原発事故の生き証人だとして今も300頭飼育している。 牧場代表の吉澤正巳氏はただ一人で、全国からの支援や寄付を頼りに格闘している。 発行している「BECO新聞」第5号(2017.09)によると、300頭の牛は牧草ロールを1日に8~10個食べるとのこと。
実に年間一千万円以上かかっているのだという。 「牛に責任はない。殺すわけにはいかない。悲惨な原発事故の生き証人として・被ばく牛とともに原発を乗り越える世の中を目指す」という吉澤氏の言葉は重い。 牧場内の除染フレコンバックは15,000袋(2017.8.12)。 1袋費用約2万円(人件費含む)。 吉澤氏は「3億円も使って牛の糞詰めて、それって意味ありますか?牧場内に立つ送電鉄塔は、東北で起こした電気を関東へと運ぶ。福島の犠牲の上に東京の何気ない豊かな暮らしが成り立っている」と書いている。 そして彼はこれまで150回以上も国会や渋谷などで原発反対の街頭演説や街宣をしてきたといい、これからも止めないという。 その確たる信念、気概、執念、根性は一体どこから生まれてるのだろうか。 「原発反対は必ず多数派の声になる」の信念で動き、「運動はしんどいけれど出会いの楽しさ、人間同士のぶつかりあいが次の行動を生む」・・・と話す彼に田中正造が重なる、という人もいる。 今回その生き様や原発への怒りを伺った。 このような人や心を寄せる人も沢山いるが 、報道はこれに全く触れず営業再開や復帰だけを美談に仕立て、帰町を煽るばかりが今の福島の現状だ。
「希望の牧場」が、文字通り私たちの、日本の、安心安全と希望の灯になることを切に願う。 ○希望の牧場・ふくしま基本情報【見学大歓迎】
(20171206筆)
|
Pingback: 23.大人の遠足 | WEBぱるマガジン